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松尾豊「生成AIは医療、金融、製造に貢献」 日本語に特化した開発への“懸念”は?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月19日 18時25分

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撮影:河嶌太郎

 世界的に生成AIの開発競争が激化する中で、現在の日本の立ち位置がどこにあり、これから何をすべきなのか。

 AIの第一人者である松尾豊・東京大学大学院教授が3月15日、日本記者クラブで「生成AIの進展と活用可能性」と題して、AI開発の最新動向や社会へのインパクトについて講演した。

 松尾氏は「世界的にはグーグルやマイクロソフトなどと数兆円の投資の戦いになる。日本のAIが世界と伍していくためには、医療、金融、製造分野など巨大産業に貢献する形を作る必要がある」と強調。産学が連携して生成AIを活用できるマーケットを考えながら開発していくことが必要だと訴えた。

●経産省がGPU購入で補助 「日本は素早い動き」

 同氏は現状について「AIは2010年ごろから第3次ブームを迎えていて、技術的なブレークスルーによりAIの実用化が大きく進むと期待されている」と話す。過去のIT技術のキャッチアップを例に挙げながら、生成AIの対応との違いを強調した。

 「(アップルの)iPhoneが07年8月に米国で登場しても、当時の日本では誰も関心がなかった。4年後にスマートフォンが出てやっとその重要性に気付いた。検索エンジン、ソーシャルメディアが重要だと訴えても重視されず、気付いた時にはもう勝負がついていた。

 ITとデジタル技術について、日本はこうした出遅れを繰り返してきた。しかし、生成AIに関して日本の動きは非常に素早かった。世界がChatGPTで驚いた時に、日本も同じように驚いた。国際的にもほぼ同時に反応し、日本も世界と同じように猛スピードで走り出し、最先端のIT技術の導入や議論が進められている。これは過去の日本からすると相当すごいことだ」

 具体的な動きとして23年5月、松尾氏が議長をしている内閣府のAI戦略会議が発足。AIの利用や開発について議論した。松尾氏は支援策を評価している。

 「予算もついて、いろいろな施策を実行している。特に経済産業省が主体となって、データセンターにGPU(画像処理装置)を増設する際に補助をした結果、昨年1年間でかなりGPUが増えた。現在、世界ではGPUの争奪戦が起きていて、日本が買い負けないように、きちんと交渉して対応しているのは正しい。このほか人材育成などにも目が向けられている」

●著作権でホットな議論

 AIと著作権に関する考え方については、今後の議論を注視する必要があると指摘した。

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