【経済産業省】石炭火力でアンモニア活用 ”脱炭素化”進めるも、欧州から批判
財界オンライン / 2024年5月15日 11時30分
東京電力グループと中部電力が折半出資する発電会社JERA(東京)が4月、碧南火力発電所(愛知県碧南市)で燃料の石炭の一部をアンモニアに置き換える「混焼」の実証実験を始めた。石炭火力に当面頼らざるを得ない日本は、既存設備の脱炭素化が急務となっている。しかし、再生可能エネルギーが普及する欧州からは「火力発電の延命策」との批判が上がり、風当たりは強い。
商用の火力発電所での大規模な実証実験は、世界初となる。石炭を減らして、代わりに燃焼時に二酸化炭素(CO2)が出ないアンモニアを使い発電する。JERAは開始後、アンモニアへの転換率が20%に到達したと発表。6月まで続ける予定で、結果を踏まえ2020年代後半にも商用運転を開始する。
政府は、電源構成に占める石炭火力の比率を、30年度に現在の3割から19%に縮小し、水素やアンモニアについては1%の導入目標を掲げる。一方、風力発電などの再エネが普及する欧州は既に石炭火力の廃止にかじを切っており、アンモニア混焼が石炭火力の廃止を遅らせるとして批判が根強い。
ただ、島国が多いアジア諸国は、依然として石炭火力に依存。新興国や途上国は再エネを急速に拡大させることが難しく、既存設備を活用しながら段階的に脱炭素化を進める日本の技術には期待が寄せられている。
アンモニア混焼の実用化にはコスト面に課題が残る。アンモニアの調達費用は石炭に比べて高く、政府は価格差を埋めるため、今後15年間で3兆円規模の補助金を出す方針を打ち出している。JERAの関係者も「導入時はどうしてもコストが高くなるが、海外も含めてサプライチェーンが広がれば価格も下がる」と期待を込める。
日本は早期に混焼技術を確立し、アジア各国の脱炭素化も後押ししていく考えだ。
第一生命経済研究所 首席エコノミスト・熊野英生氏の提言「投資不足社会」
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
日本:日本エネルギー首脳会合と展示会で革新的なエネルギー技術の先駆として世界的指導力を発揮
共同通信PRワイヤー / 2024年5月30日 9時45分
-
MSCIレポート アジア太平洋における気候対策の進捗は市場によって差がある
共同通信PRワイヤー / 2024年5月28日 18時30分
-
日本郵船がアンモニアに注力する4つの狙い「日本の海事産業の復活を!」
財界オンライン / 2024年5月22日 18時0分
-
【三浦工業株式会社】アンモニア混焼小型貫流ボイラの開発に向けた取り組み
PR TIMES / 2024年5月21日 16時45分
-
社説:電源構成計画 再エネ拡大に集中せよ
京都新聞 / 2024年5月17日 16時5分
ランキング
-
1「富士山を黒幕で隠す」日本のダメダメ観光対策 「オーバーツーリズム」に嘆く日本に欠けた視点
東洋経済オンライン / 2024年6月2日 8時0分
-
2サクラクレパスの「こまごまファイル」が“想定外”のヒット、なぜ?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月1日 8時10分
-
3「みどりの窓口削減計画」はなぜ大失敗したのか…JR東が誤解した「5割がえきねっとを使わない」本当の理由
プレジデントオンライン / 2024年6月2日 7時15分
-
4PIAAからヘッド&フォグ用LEDバルブ 6000K「超高輝度」シリーズ・5製品が登場
レスポンス / 2024年6月2日 10時30分
-
5なけなしの貯金と「年金月14万円」で暮らす70代女性、冷房代が払えず「“タダで涼める”スーパーへ避難生活」が続くも…「店長のひと言」で人生が一変したワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月29日 9時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください