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日本人は"耳"ができれば劇的に上達する…「英語が苦手」というメンタルブロックが外れる海外ドラマ3選

プレジデントオンライン / 2024年5月18日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yagi-Studio

どうすれば英語は上達するか。英会話講師で『カタカナ英会話』(学研)を書いた翻訳家の甲斐ナオミさんは「日本人はネイティブの発音を習っていないため、聞き取ることができず、話しても伝わらないため、苦手意識を持っている。日本人は学校教育のなかで文法や語彙はしっかり学んでいるので、ネイティブ発音が聞き取れるようになれば、みるみる上達していく」という――。

■日本人の英語の課題はネイティブ発音を学んでいないこと

2023年の英語能力指数ランキングは2022年の80位から7ランクダウンし、87位という結果が出ています。多くの日本人は英語に対して強い苦手意識を持っていますが、実際にデータからも日本人の英語能力の低さが示されています。

コロナが明けて、再び訪日外国人数が増えたり英語教育の推進などの理由により、日本人が外国人と交流したり英語の学習の機会が増えたりしているはずですが、英語能力指数のランキングが下がっています。

この話題になると、大抵、アウトプットが圧倒的に足りないと言われます。もちろんそれも一理ありますが、そもそも聞き取れないことはしゃべれないのです。赤ちゃんもお母さんが言っていることを聞き取れるようになってから発語します。

学校でもリスニングの勉強はしますが、先生自身がほとんどの場合、ネイティブの英語発音を身に付けておらず、日本語訛りの英語で授業を進めます。そのため、誤った発音を覚えてしまい、ネイティブの英語が聞き取れないし話すことも苦手……という結果となります(参考記事)。

しかし、諦める必要はありません。実は日本人は発音さえ学び直せば、6年間の学校教育の中で単語や文法をしっかりマスターしているので、急に話せるようになるのです。もちろん、大人になってから完璧なネイティブの発音を身に付けるのは難しい(不可能ではない)かもしれませんが、カタカナのみでネイティブの発音に十分近づける方法があります。それがネイティブの発音を聞こえるままにカタカナにして読む「カタカナ発音法」です。

たとえば、

Got it!→ガレ!
Thank you.→フェンキュ
Help me.→ヘォッミ
I don’t know.→アロンノウ
I need a taxi.→アニーラ ークスィ
Don’t drink that.→ドン ジュンッ ダッ

※太字はアクセントをつける個所

という具合です。

■「英語耳」をつくるのにオススメのドラマ3選

ネイティブがしゃべるときの発音の癖を理解し、それを最も近いカタカナに置き換えると、難しい「r」や「th」が完璧にできなくてもネイティブっぽい発音を再現することができます。

ネイティブの発音方法を知って「ネイティブ・カタカナ」に慣れると、だんだん「聞き取り」もできるようになります。

今はNetflixやAmazon Primeなどのサービスを利用すると動画を好きなだけ視聴できることができます。しかし、ネイティブの発音方法を一通り理解した後にいきなりどのドラマでも聞き取れるようになるわけではなりません。ドラマの内容や英語の難易度も考慮して選ぶ必要があります。

今回、「英語耳」になる手助けをしてくれるアメリカのテレビドラマ3選をご紹介します。どれもネイティブの子どもでも理解できる英語しか使われていません。それでも難しく感じるのは、繰り返しになりますがネイティブの発音が聞き取れないからです。そこで、これらのドラマで頻出するフレーズをカタカナ発音法で表記します。それをそのまま読んでネイティブの発音を学んでから、ドラマを見てください。「あ! わかった!」という体験できると思います。

すると、楽しくなって、どんどん英語でドラマを視聴したくなると思います。こうなれば英語は上達します。この「英語がわかった!」という感覚が日本人にはとても大切です。日本人はネイティブの英語が聞き取れないし、話しても伝わらないから「英語ができない」と思い込んでしまっています。でも、ネックになっているのは発音だけなので、カタカナ発音法を学んで「わかった」を実感できれば、メンタルブロックが外れてぐんぐん伸びていくのです。

それでは具体的に紹介していきましょう。

■ユーモアたっぷりの雑談に特化したドラマ

1.『フレンズ』
huluで配信中の『フレンズ』
huluで配信中の『フレンズ』(huluサイトより)

まずはこちら! 『フレンズ(Friends)』です。ニューヨークのマンハッタンを舞台に、6人の男女の友情、恋愛、家族をユーモアたっぷりに描いた、90年代の大ヒットドラマです。

私が大学時代に放送されていたドラマですが、毎週新エピソードを心待ちにしていました。どんなに辛くても、『フレンズ』を見ている間は何も考えず幸せになれる、そんなテレビドラマでした。

さて、なぜこのドラマを選んだかと言いますと、20代の友人6人の日常生活を描いたドラマであって、小難しい内容の会話がなく、雑談がメインだからです。刑事や医療系のドラマですと、雑談の上に普段使わない専門用語がたくさん登場するので、フレンズのような雑談に特化したドラマがおすすめです。

今回は、2人の登場人物がそれぞれ頻繁に口にするセリフをご紹介します。

最初の登場人物はフィービーというキャラクターで、複雑な生い立ちですが、非常にマイペースで個性的、そして場の空気を読まない発言をよくしますが、愛嬌のあるキャラクターです。その彼女が何かの頼みを断るときに「I wish I could, but I don’t want to.」と正直すぎて憎めない、ユーモラスな断り方をします。日本語ですと「そうできたらいいのだけれど、やりたくないの」という意味になります。社会人として、「やりたくない」という気持ちをストレートに伝えることはあまりないでしょうが、最初の「そうできたらいいのだけれど」はお誘いを、対立を避けるためにやんわりと断るときによく使いますのでぜひ覚えておくと便利なフレーズです。

アイ ウィシャイッ バイロンントゥ
I wish I could, but I don’t want to.

発音のポイントとしては、「wish I」はつなげて「ウィシャイ」と発音します。

「could」の「d」は直後に一息つくカンマがくるので、文章の最後に来るときの同じように、サッと消して「ッ」に置き換えます。

「but I」の「t」は前後が母音であるため、「ラ行」で発音します。「I don’t」も「d」の前後が母音の音なので「ラ行」で発音して、「ロ」になります。

二人目の登場人物はレイチェルです。お嬢さま育ちでわがままですが、友達思いの優しい一面も持っています。ただ、頭は決して良い方ではないので、時々笑える発言をします。例えば社会人になって働いたことのないレイチェルは「I’m gonna go get one of those job things.」と言います。意味は「みんなが『仕事』って言ってるやつをゲットしに行くよ」と「仕事」というものがどんなものなのかよくわかっていない感が表現されています。

アンガナ ゴウゲッ ワナドーゥズ ジャーブ フィングズ
I’m gonna go get one of those job things.

発音のポイントですが、「gonna」は「ゴナ」ではなく「ガナ」と発音します。「one of those」もつなげて「ワナドーゥズ」になります。「things」の「ティングズ」や「シングズ」よりも「フィングズ」と発音した方がよりネイティブの発音に近いです。

■子どもとの会話が初心者にぴったり

2.『フルハウス』
『フルハウス』シーズン1よりYouTubeで視聴可能
『フルハウス』シーズン1よりYouTubeで視聴可能(YouTube『フルハウス』チャンネルより)

次は『フルハウス(Full House)』です。

この番組は私が十代のころに放送されていて、コメディーでありながらも家族や友人の大切さ、愛の大切さなどを語る心温まるドラマでした。サンフランシスコに住むタナー夫婦には娘が三人いたのですが、不幸にも妻が交通事故で亡くなってしまい、夫ダニーは親友ジョーイと義弟ジェシーに協力してもらって子育てをする設定です。

家族や友人同士で使う、難しくない内容の会話が多く、また、小さな子どもも登場するのでシンプルな会話もでてくるという理由で聞き取りの練習にはおすすめです。

最初の登場人物は娘たちの父親、ダニーです。真面目で家族思いの性格で、ときによっては親ばかな一面もあります。あるシーンで娘たちの間で問題が起きた時にハグして解決することを提案するダニーは「What do you say, girls? Hug it out?」と言います。これは「どうだい、みんな?ハグして解決しよう?」と言っているのです。ちなみに「What do you say?」は「何を言う?」という意味ではなく、何か提案をして「どう?」と意見を尋ねるときによく使う表現です。この場合はハグして仲直りするという提案に賛成かどうか娘たちに聞いているのです。

ワルユイ グァーゥズ ハギウッ
What do you say, girls? Hug it out?

まず、「What do you」の「What」ですが、母音の「ワッ」と音を出し、その後に「d」の子音を挟んで母音の「ウ」の音がくるので、「d」をラ行で発音します。これを全部つなげて「ワルユ」と発音すると自然なネイティブの発音になります。「Hug it out」も「Hug」と「it」をつなげて、さらに「it」の「t」の前後に母音がくるので、「t」をラ行で発音します。「out」は、語尾が「t」の場合はサッと消して「ッ」に置き換えることが多いです。

■希望を伝える頻出フレーズ「アホウピュァ」

次のフレーズは娘の1人であるミシェルが言うフレーズです。赤ちゃんのときに母親を亡くした末っ子のミシェルは家族全員に可愛がられます。今回のフレーズは「I hope you’re right.」ですが、学校の初日に少し不安げなミシェルにお父さんのダニーが「きっと楽しいよ」という励ましに対して「そうだと良いけど」とミシェルが答えるシーンです。希望を伝える「I hope……」はよく使うパターンなので覚えておくと便利です。

ウピュァ ウァイッ
I hope you’re right.

最初の「I」は「アイ」と発音してももちろん良いですが、ネイティブがサラッという時には「ア」だけを発音することも多いです。続く「hope」と「you’re」もつなげて発音しましょう。最後の「right」の「r」は「ライト」ではなく「ウァイッ」と発音するとネイティブの発音にグッと近づきます!

■非ネイティブの英語だからわかりやすい

3.『エミリー、パリへ行く』
Netflixで視聴可能『エミリー、パリへ行く』
Netflixで視聴可能(Netflix『エミリー、パリへ行く』より)

最後は『エミリー、パリへ行く(Emily in Paris)』です。

こちらは2020年からスタートした人気テレビドラマです。シカゴでマーケティングの仕事に励んでいたエミリー・クーパーがパリでの仕事が決まるのですが、パリでの新生活を描くコメディドラマです。

アメリカ人のエミリーがパリに行って仕事をする内容ですが、現地のフランス人たちは英語ネイティブではないため、エミリーとの会話が比較的やさしく、またほとんどが雑談なのでおすすめです。ヨーロッパの風景やファッションがお好きな方も大いに楽しんでいただける作品です。

エミリーは底抜けに明るい性格の持ち主です。彼女のセリフは多くの場合とてもポジティブで元気を与えてくれるセリフです。例えば、自信と決意に満ちているエミリーは自分自身に挑戦や障害を乗り越えられると伝えるときに、「I’ve got this!」と言います。これはネイティブが良く使うフレーズで「私に任せて!」という意味です。

アヴッ ディス
I’ve got this!

英語では「o」を「オ」ではなく「ア」と発音することがよくあり、「got」の場合がそうです。しかも語尾の「t」の後に子音がくるので、サッと消して「ッ」に置き換えます。

二つ目のフレーズは「I’m all in!」もネイティブはよく使う表現です。エミリーはこの言葉で新しいアイデアやプロジェクト、または経験に熱心に取り組み、自分の冒険心を示しています。「全力を尽くすよ!」という意味です。

ーォリン
I’m all in!
甲斐ナオミ『カタカナ英会話』(‎Gakken)
甲斐ナオミ『カタカナ英会話』(‎Gakken)

こちらはすべてつなげて発音します。また、「all」は「オール」ではなく、「アーォル」がネイティブの発音に近いので、前後とつなげると「アマーォリン」となります。

このように、日本人が想像している(学校で学んだ)発音ではなく、英語ネイティブが話す音を理解すると、ネイティブの発音が聞き取りやすくなり、日本人が英語でしゃべったときもネイティブに伝わる確率が高くなり、会話が成り立ちやすくなります。

今回ご紹介したフレーズのカタカナを何度か読んでおくと、ドラマで出てきたときに「聞き取れた!」「わかった!」となるはずです。ぜひ、試してみてください。

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甲斐 ナオミ(かい・なおみ)
英会話講師、翻訳家
モントリオール大学英仏翻訳科大学院修士課程卒業までに6カ国語をマスターし、現在は英語、フランス語、日本語のトリリンガル。カナダ在住のとき、ジャパニーズ英語で苦労してきた父母を見てきて、「日本人のカタカナ英語でも、ネイティブに通じる方法はないか?」と研究し続け、「カタカナ発音法」を生み出す。「世界まる見え!テレビ特捜部」(日本テレビ)や「日立 世界ふしぎ発見!」(TBSテレビ)などに通訳で出演するほか、「ダーウィンが来た!」「ワイルドライフ」(NHK)などの英語字幕・ナレーション翻訳を手がける。著書に『これだけ! 接客英会話 丸覚えフレーズBOOK』(ナツメ社)、『ネイティブの“こども英語”で通じる英会話』(あさ出版)、『ながめて覚える英単語1200』(かんき出版)など。

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(英会話講師、翻訳家 甲斐 ナオミ)

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