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〈那須・焼かれた2遺体〉「いつかこうなると思った」もうひとつの遺体は日頃からトラブル相手を罵っていた妻だった…逮捕された刺青男は「アニキ」と「共犯」について供述を開始

集英社オンライン / 2024年4月24日 20時58分

〈那須・焼かれた2遺体〉逮捕された刺青男は「中国人をぶん殴った」などワル自慢するもクラブ界隈では「頼れるアニキ分」で「仕事は真面目ないい奴」と評判、16日未明にはアリバイも〉から続く

栃木県那須町の河川敷で男女の他殺体が火をつけられて放置されていた事件の発覚から1週間が過ぎた。被害者のひとりは東京・上野で焼肉店などの飲食店を多店舗展開する「サンエイ商事」社長の宝島龍太郎さん(55)。身元のわかっていなかったもうひとつの女性の遺体は妻の幸子さん(56)と判明した。

〈画像多数〉トラブルが発生し声を荒げる宝島さんと妻の幸子さんのツーショット写真。さらに平山容疑者の「カエルとダルマ」の和彫りの刺青写真

これまでの経緯を振り返ると…

栃木県警は警視庁と合同捜査本部を設置し、遺体を現場に運んだ車両を提供したとみられる建設業、平山綾拳容疑者(25)を死体損壊容疑で逮捕した。しかし被害者と容疑者は接点に乏しく、殺人・死体遺棄事件の主犯格にはたどり着いていない。客引きをめぐる日常的なトラブルに加え、遺体損壊の残忍な手口が醸し出す猟奇的な強行事件はどういう結末を迎えるのかー。

集英社オンラインは発生から総力取材を続け、♯8まで連日事件を詳報してきた。これまでの経過をおさらいする。

事件は4月16日早朝、那須町伊王野の林道脇の河川敷で「マネキンのようなものが燃えている」と不審に思った通行人の一報から始まった。実際は人形ではなく、両手を結束バンドで縛られ、頭部をビニール袋と粘着テープでぐるぐる巻きにされた男女の遺体で、これらは仰向けにX字に折り重ねられ、炎を上げるほど燃えていた。

近くには燃料用の携行缶が放置されていた。栃木県警捜査1課は那須塩原署に捜査本部を設置、男性の遺体はすぐに宝島さんと判明したが、女性の遺体は顔や頭部を鈍器のようなもので激しく殴打されて骨折するなど原型をとどめておらず、身元確認が難航。

司法解剖の結果、遺体はいずれも頸部圧迫による窒息死と判明し、殺害後に現場に放置、火をつけた殺人・死体遺棄・死体損壊事件であることが明らかになった。

一方で翌17日朝、東京都品川区の大崎署五反田駅前交番に平山容疑者が「栃木の事件に関与したかもしれない」と出頭。

警視庁捜査1課が同署に捜査本部を設置して平山容疑者の車などを押収し、栃木県の遺棄現場付近を走行していた防犯カメラ映像などを分析するなど捜査を進め、21日に遺体に火をつけた死体損壊容疑で逮捕した。

「このクソ女が」「なに撮ってんだ」と凄む姿が…

しかし、平山容疑者は「アニキ」と称する人物からの依頼で車や凶器類を準備しただけで、自身は現場にも行っていないなどと供述。一連の経緯は♯7♯8で詳報したが、元サッカー少年だった平山容疑者は建築作業員として働いており、勤務態度はいたって真面目。腕や脚に刺青をいれ、渋谷のクラブに出入りして友人にワルぶりを自慢げに語ることはあったが、「アニキ」の横顔は見えてこなかった。

しかし、大崎署の合同捜査本部が本格的に追及したところ、平山容疑者が「名前も言いたくない」と恐れてきた「アニキ」について、ようやく口を開くようになってきたという。社会部デスクが解説する。

「平山容疑者は『アニキ』について『Bさん』という具体的な名前をあげて証言し始めた。『Bさんは怖い人』と恐れているようだが、このBに遺体の処分を頼まれ、知り合いの飲み仲間2人に車を貸したと供述。

実際に15日夜に品川区内のコンビニエンスストアで男2人と接触、ここで車を引き渡し、自身は16日未明に都内の飲食店の防犯カメラ映像に映っていたことから『自分は栃木には行っていない』というアリバイ証言は正しいものとみられます。

一方で上野の繁華街で焼肉店など14店舗を展開していた宝島さんは新たな出店計画を立てており、事件前日の15日夜、幸子さんと連れ立って知人2人と同じ車に乗って品川区に移動。物件の見学に訪れたとみられ、東品川付近の防犯カメラに宝島さんらがリラックスしてタバコを吸っている姿などが確認されています。

宝島さん夫婦はこの後、拉致されて殺害、栃木の現場まで運ばれて遺棄されたと見られています。この物件探しに同行した知人2人と、平山容疑者が恐れる『B』との接点、さらに『飲み仲間2人』との割り出しを捜査本部は急いでいます」

犯行に使われた平山容疑者の車のトランクや後部座席からは血痕が検出され、幸子さんの運転免許証や粘着テープ、結束バンドなども見つかった。

事件当日の16日午前0時ごろに都内の住宅で宝島さん夫妻が、平山容疑者の「飲み仲間2人」と接触していた可能性が高いとみて24日、合同捜査本部がこの住宅の現場検証を行なったという一部報道もあった。

飲食店激戦区での急激な店舗拡大から「正直、恨みをかう敵は多かったと思う」と親族からも懸念され、ライバル店の経営者と客引きをめぐって激しいトラブルの末、訴訟沙汰にも発展。

つい最近も他店と揉め事を起こしていた姿を目撃されていた宝島さん夫妻。「いつかはこうなると思った」と証言する同業者もおり、取材班が入手した“トラブル”映像では朝鮮語で近隣店舗の女性店員に「このクソ女が」「なに撮ってんだ」と凄む姿が残されていた。

宝島夫妻と揉めたことがある店舗の店主は「クレームを強くいれてきたのはいつも気性の激しい幸子さんだった」と話す。はたして「B」や「飲み仲間2人」の動機とはなんなのか。謎が多い事件は、徐々に核心に近づきつつある。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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