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平気で「サプリを飲む人」が知らない怖すぎる真実 実は「サプリ原因の健康被害」は少なくない

東洋経済オンライン / 2024年5月4日 12時20分

死者を出した紅麹事件がありました。サプリメントを過信するのは危険です(写真:pearlinheart/PIXTA)

70万部の大ベストセラー『食品の裏側』の著者、安部司氏が開発した8万部突破のレシピ集『世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん ベスト102レシピ』に続き、『世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん2 ベスト107レシピ』が発売され、発売7日で増刷するなど反響を呼んでいる。

【図でひと目でわかる】混同している人があまりに多い!小林製薬「紅麹問題」"3つの超基本"

『食品の裏側』発売後、全国の読者から受けた「何を食べればいいのか?」という質問に対する答えとして、安部氏が自ら15年かけて開発した膨大なレシピノートの中から、「簡単に時短に作れるレシピ」を厳選したレシピ集だ。

いまなお食品添加物の現状や食生活の危機をメディア等で訴え続けている安部氏が小林製薬「紅麹コレステヘルプ問題④」について語る。


*このシリーズの1回目➡「紅麹問題」は"3つの基本、混同してる"人が多すぎだ

*このシリーズの2回目➡小林製薬「紅麹問題」結局、何がマズかったのか?

*このシリーズの3回目➡「紅麹問題」で再浮上、"サプリ"は本当に安全か?

サプリメントを過信した私の友人を襲った悲劇

近年、私の友人がこういう目に遭いました。

彼は膝を痛めたのですが、医者に行かず、サプリメントでなんとかしようとしたのです。

テレビで「シニア層になってもさっそうと歩ける」というサプリメントのCMがしきりに流れていたので、彼も「これを飲めば膝の不調が改善するのだろう」と思い込んでしまったのです。

ところが、3カ月飲んでも痛みが改善しないどころか、悪化していく一方。

彼が慌てて整形外科に駆け込んだところ、「なんでもっと早く来なかったのか」と医者に大目玉を食らったというのです。

彼の膝は3カ月のうちにかなり悪化してしまっていて、治療が難しい状態になっていたそうです。

「3カ月前の時点で来ればもっとできること(治療法)があったのに」と言うのです。医者にしても悔しい気持ちが怒りとして出てしまったのだと思います。

もちろん、そのサプリメントには「膝の痛みが良くなる」とは一言も書いてありません。認識の足りない彼にも問題があります。

しかし、「膝の関節がスムーズになる」「歩きやすくなる」というCMを見て彼が誤解をしてしまったのも事実です。

この誤解をしてしまうのは、彼だけとは私には思えません。

痛烈な疑問を抱いた私は、そのサプリメントを出しているメーカーに抗議文を出しましたが、結局返事はありませんでした。

「サプリメントで起こる健康被害」は決して少なくない

飲む側の問題もあります。

サプリメントは医薬品ではありません。飲む側は「医薬品でないから安心」と思ってしまい、危機感を持ちません。

すると、飲んでみて効果が出なかったら余計に飲んでしまう、あるいは、もともとコレステロールの治療をして処方薬を飲んでいるのにサプリメントと「飲み合わせ」をしてしまうなどといった「危険な飲み方」を平気でしてしまうケースが起こりえます。

友人のように「サプリメントを飲んでいるから」と安心して、適切な治療のタイミングを失うこともサプリメントの問題点です。

そして、もっと怖いのは健康被害が生じても実態が不明ということです。

たとえば、サプリメントを飲んで何らかの不調が生じたとしても、「サプリメントが原因でこうなった」とは、なかなか思わないものです。

しかし、表面化していないだけで、「サプリメントで健康被害が生じた例」は実際には少なくありません。

今年4月12日の毎日新聞の記事によると、消費者庁はサプリメントの一種である「機能性表示食品」(前回記事:【「紅麹問題」で再浮上、サプリは本当に安全なのか?】参照)の6795製品の緊急点検をした結果、18製品で計117件の健康被害情報が寄せられたと発表しています。

多くは軽症だったそうですが、入院したケースもあったそうです。

これはもちろん、「サプリメント自体の問題」もあったのでしょうが、「飲む側の問題」もないとはいえないはずです。

サプリメントの利用にはもっと慎重になるべき

厚生労働省や消費者庁も、サプリメントの飲み方については口を酸っぱくして注意喚起しているのに、どうしてもこういう事故が起こるのです。

私たちは、サプリメントの利用にはもっと慎重になるべきではないでしょうか。

今回、「紅麹コレステヘルプ」により健康被害の生じた方には心よりお見舞い申し上げ、またお亡くなりになった方には心からの哀悼の意を表します。

このような事故が起こったことは残念でなりませんが、今回のことは私たちに「大きな教訓」を与えてくれたと思っています。

それは「健康は『一発』では手に入らない」ということです。「これを飲めば霊験あらたか、たちまち健康体になる」というものはないのです。

健康は「一発」では手に入らない、予防原則は日々の食事

予防原則は日々の食事にしかないのです。

もちろん、医師のアドバイスを受けたり、あるいは治療としてサプリメントを取り入れたりしている人は別です。

しかし、そうでなければ、「安易に市販のサプリメントに頼るより、まず『食事』を見直していただきたい」というのが私の強い思いです。

これは私見になってしまいますが、「自然のものを不自然な形でとる」ということに、私はどうしてもリスクがあるように思えてならないのです。

サプリメントはある食品から一定の成分を、抽出・濃縮してカプセル・錠剤にしたものです。

今回のことで言うなら、紅麹菌を使った紅甘酒や豆腐ようは自然な食品だけど、成分を過度に濃縮された紅麹サプリメントは食品として不自然な形だと私には思えるのです。

そしてもうひとつ、サプリメントは同じものを飲み続けるという不安要因があります。

どんなものも毎日食べ続けるのはよくありません。

「ユネスコ無形文化遺産」和食こそ、安全性の高い食事

毎日食べ続けても健康に害がないのは、和食においてはご飯と味噌汁だけだと私は考えています。

日々の食事をないがしろにして、サプリメントで補えばいいなどという考えで健康は手に入りません。

ご飯と味噌汁、魚と煮物といった、「地味なご飯・茶色の和食こそが、明日の健康を作る」と、長年、添加物と食品業界に携わってきた私は確信しています。

私自身、めったなことでは風邪もひかず、70歳を過ぎても全国を飛び回っていられるのも和食(安部ごはん)のおかげだと思っています。

「ユネスコ無形文化遺産」に登録されてから10年余り、インバウンド需要の高まりもあって今、和食に再び注目が集まっています。

このシリーズの初回記事(「紅麹問題」"3つの基本、混同してる"人が多すぎだ)で「口に入れるものの安全性を担保することは簡単なことではない」と述べました。

和食こそ、長年日本人が食べてきたという「歴史の証明」のある安全性の高い食事です。

ぜひみなさん、今再び「和食の良さ」を見直していただきたいと心より願います。

*このシリーズの1回目➡「紅麹問題」は"3つの基本、混同してる"人が多すぎだ

*このシリーズの2回目➡小林製薬「紅麹問題」結局、何がマズかったのか?

*このシリーズの3回目➡「紅麹問題」で再浮上、"サプリ"は本当に安全か?

安部 司:『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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