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歪んだ「二次感情」はどんな思考や行動をもたらすのか?【「不登校」「ひきこもり」を考える】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月14日 9時26分

【「不登校」「ひきこもり」を考える】#15

 前回、子どもが一次感情を正しく感じきれない一次感情不全だと、一次感情が過剰に膨らんだり、脳のノイズとして消えない人工(二次)感情が増殖する、といったお話をしました。今回はそれらがもたらすそれ以外の不適応反応についてお話します。

 大きく分けて3つあります。ひとつは「自己肯定感の低さ」「虚無感」といった歪んだ思考や価値観、もうひとつは「前向きさ」「達成感やヤル気」「喜び」などのバイタリティの喪失です。そして3つ目は、「暴飲暴食」「暴言暴力や自傷」「ゲーム、ギャンブル、買い物などの依存」といった問題行動です。これは、すべて一次感情不全に端を発した回避的な二次感情を含む、二次的反応の行き着く先として説明されます。

 いわば本能の感情とも言うべき一次感情を「苦痛だから」と目を背けるだけで、いくらもっともらしく自分の本音を取り繕おうとしても、そのしわ寄せの結果、矛先は周囲には到底理解できない歪んだ思考や価値観、問題行動、異常な身体感覚という形で制御不能な二次反応を生じさせてしまいます。

 たとえばひとつ目の歪んだ思考や価値観は、本来感じるべき自分の魂の叫びでもある一次感情を感じることが叶わぬ苦痛を正当化するためには「自分にはその価値がないから」「そもそも人生なんて何もかもすべて思い通りにいかない虚しいもの」「つらい出来事があったのはそういう卑屈な運命なわけだから、無駄な抵抗などせずにすべて受け入れるしかない」と矮小化して考えることで、苦痛な一次感情に向き合う必要性を薄れさせる認知的回避という現象で説明されます。

■マイナス感情の抑制常態化はプラス感情の感度低下を招く

 また、苦痛だからとマイナスの感情を感じないように押し殺し続けていると、プラスの一次感情に対する感度も連動して低下しますので、何をやっても以前のようには「楽しめない」「達成感を感じない」というプラス感情の感度低下が生じます。感情の感度低下は、連動する身体感覚の感度低下にも波及していきます。そうなると、日常のなにげない小さな喜びに深い幸せを感じて味わうなどということはできず、健康的な事象には無関心・無感動になります。同時に、ゲームやギャンブル、買い物、過食といった依存性の強いジャンキーなことでなければプラスの感覚が刺激されず、結果、依存症に陥ったり、万引きやケンカなどの反社会的行動の快感を追い求め止まらなくなったり、中にはリストカットのような自傷による体感刺激で辛うじて「生」を感じられて刹那的な安心を得るという方もいます。

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