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「再雇用」を検討するシニア社員にとって、業務委託契約による〈個人事業主〉という働き方こそが有益といえる、これだけの理由【シニアキャリアコンサルティングが助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月16日 11時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

働きざかりを過ぎ、定年が見えてくるにあたって、今後の働き方について悩む人も少なくありません。今の時代、雇われて働く「雇用」だけでない働き方に追い風が吹いている、と行政書士であり、リスタートサポート木村勝事務所代表の木村勝氏は言います。木村氏の著書『老後のお金に困りたくなければ 今いる会社で「“半”個人事業主」になりなさい』(日本実業出版社)より、詳しくみていきましょう。

サラリーマン業務の「個人事業主化」が進む理由

今までは雇われて指揮命令を受けて働く「雇用」以外は、例外的な働き方にとどまり、普通のシニアサラリーマンの選択肢として現実的ではありませんでした。しかし、今後は「業務委託契約により個人事業主」として働く働き方に追い風が吹いています。次にその理由を説明します。

①企業における兼業・副業の拡大→業務委託経験値の蓄積→抵抗感が薄れる

2021年10月に経団連が公表した「副業・兼業に関するアンケート調査」では、社外からの兼業・副業人材の受け入れを30.2%が「認めている」または「認める予定」という調査結果でした。

なお、兼業に関しては、ほとんどの企業は業務委託による兼業・副業受け入れを想定しています。下記、図表をご覧ください。企業は兼業・副業を認めるようになっていますが、認めている副業は、実は上の図の【雇用+雇用】パターンではなく、下の【雇用+業務委託】パターンです。【雇用+雇用】パターンは、労働時間を2社間で通算して残業分を算出する必要があるなど、労務管理が複雑になり、多くの企業で認めていません。

企業は、【雇用+業務委託】パターンで自社の社員に対して業務委託による兼業・副業を認めているので、逆の受け入れである「個人事業主に業務委託で仕事を依頼する」ことに対しても経験値を積んでいます。業務委託に違和感がなくなってきているのです

筆者は、2014年に個人事業主として仕事を始めましたが、その当時は業務委託での業務遂行に関して企業側も経験値が少なく、「やったことがない」「雇用以外の働き方は想定していない」という企業が多かったのですが、最近では雇用ではなく逆に業務委託での契約締結を求める企業も増えてきています。

特にスポットで「必要な時期に」「必要なだけ」サポートが必要な場合には、雇用契約では柔軟な契約期間を締結するのが難しかったり、必要な時期が終了してもすぐには解約できなかったりするので、業務委託で仕事を依頼するほうがメリットは大きくなります。

また企業は、自社内で役職定年制や再雇用制などを運用し、長年貢献してきたシニア社員に対して“厳しい処遇”をしています。こうした状況のもとで、あえて外部からシニア社員を採用する理屈が社内的にも成り立たないというお家事情もあります。

長年会社に貢献してきたシニアの処遇を下げる一方で、同世代のシニア社員を外部から「雇用」で受け入れれば、自社のシニア社員から猛反発を食らうことは明らかです。シニア社員の転職が厳しい理由の1つにはこうした事情もあります。「あの人は違う」という扱いにするためには、「雇用」以外の契約(業務委託など)で受け入れるしか方法がないのです。

「業務委託契約により個人事業主」という働き方が浸透しつつあるワケ

②65歳超の働き方として法律で想定されていること(改正高年齢者雇用安定法)

高年齢者雇用安定法という法律では65歳を超え70歳まで就労機会の提供を努力義務化しています。65歳までは「雇用が義務化」されていますが、65歳を超え70歳までの領域では、「雇用にこだわらず業務委託契約を締結する」ことも措置の1つとして認められています。

業務委託での就労機会提供について、国がお墨付きを与えているようなものなので、企業も今後65歳以降の就労機会提供に関しては、雇用だけでなく業務委託契約を締結することが増えてくることが予想されます。

③雇用での一律的継続就労に対する企業側の回避意識

これは、先ほどの②とは表裏の関係にある理由です。健康状況も働く意欲に関してもバラツキのある65歳を超えたシニア社員を全員継続して雇用し続けることに関しては、企業側もネガティブな意識を持っています。

これから定年を迎えるボリュームゾーンであるバブル入社世代や団塊ジュニア世代を全員70歳まで企業内に囲い続けることは現実的に不可能です。

④コロナ禍でのテレワーク経験

今回のコロナ禍は、多くのサラリーマンにとってこれからの自分自身の働き方をあらためて考える大きなきっかけになりました。

各種アンケート調査でも「コロナ禍を経験し、転職への関心が高まった」と答える割合が高まっています。テレワークの経験により、一日中フル稼働していたと思い込んでいた自分の仕事時間の中にかなりの隙間時間が存在することや朝夕の通勤時間の無意味さに気がつきました。

こうした気づきは働く側だけでなく企業側も同様です。社員として雇って会社に来て仕事をしてもらわないと回らないと思っていた業務がテレワークで完結できることに気づきました。今回のコロナ禍で経験したテレワークでの業務遂行は、実質的に業務委託で仕事をやってもらうのと何ら変わらないケースも多いです。

雇用でないと仕事が回らないと思っていた従来の常識が崩れつつあるのです。業務委託であれば、面倒な労務管理からも解放され、残業・休出、年休付与管理も必要ありません。

コロナに関連した出来事は、働き方に関する“パンドラの箱”を開けました。こうした経験は、雇用に限らず業務委託という仕事の提供方法があることを企業に知らしめ、業務委託で個人事業主と契約することへの抵抗感をさらに薄れさせています。

木村 勝

行政書士

リスタートサポート木村勝事務所 代表

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