〈高配当株投資〉ポイントはたった2つだけ…「成長が持続しない銘柄」の見極め方【2万人を指導した投資研究家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月26日 7時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
できるだけ失敗を避け、伸び続ける企業に投資するには一体どうしたらよいのでしょう。本記事では『高配当10倍株投資 「高利回り×高成長」で資産を4倍速で増やす!』(KADOKAWA)から、著者の〈児玉一希氏〉が、高配当株投資初心者に向けて「投資の成功確率」をグッと上げるためにチェックすべき2つの指標について詳しく解説します。
成長が持続しない銘柄の見極め方とは?
順調に株価が成長した後は、その「持続性」についても考える必要があります。ここに考えが及んでいないと、一時的には大きな含み益を実現できても、持続性のない成長はその後の株価の長期低迷となって反映され、資産形成を妨げます。
持続性を考える上での要素をいくつか紹介します。
①景気変動でアップダウン
特に日本の高配当株には自動車、半導体、機械、建設、石油、化学など、景気に敏感な業種の株が多いです。景気敏感株は、好景気の時には大きく儲かり、株価も上昇しますが、逆に不景気になると赤字になり、株価が暴落する傾向にあります。
この要因は国内外の景気変動によって製品の販売台数や在庫が変動するからです。例として、ヤマハ発動機(7272)を挙げてみましょう。
ヤマハ発動機は日本を代表する二輪車の大手メーカーで、代表的なバイク以外にも船外機や水上スポーツ機にも強いです。海外売上が高く、世界経済の成長をしっかりと取り込んでいます。
配当金は2013年の26円から2023年12月には145円と5.5倍に増加し、株価も2012年の7月から2023年の8月までの11年間で6.8倍に成長しました。
まさに大きな値上がりを達成した高配当株の好例ですが、そのチャートを見てみると、結果的に上昇していますが、途中大きなアップダウンを繰り返していることが分かります。
2012年から2015年にかけてはアベノミクスによる円安効果があり、2015年から2016年にかけては中国経済の減速などが影響して株価は60%以上下落しました。
2020年の新型コロナで株価が3分の1以下に暴落した後は金融緩和や円安の影響で株価が回復し、2023年の8月には底値から3.8倍の高値をつけました。
このように、景気変動に弱く成長に持続性のない銘柄を高値で購入すると、優良企業といえども、大きな含み損を抱える可能性があります。大きな含み損は資産を増やすスピードを妨げますし、安く買えた方が配当利回りも当然良くなります。
②商品の優位性がない・消滅する
商品の優位性がない場合も、注意が必要です。たとえば、30年以上連続で増配している花王(4452)を考えてみましょう。花王は日本を代表する日用品メーカーで、景気変動には強い企業です。
しかし、競合他社と比べて商品の差別化ができずに売上が伸び悩み、原材料・広告費の増加による利益の減少で、2020年から2022年にかけて株価はほぼ半分にまで下落しました。
株価が大きく下落すると、高い配当利回りでも損失が膨らむことになります。トイレタリー業界は花王でなくても、ライオン、ユニ・チャーム、海外だとP&Gにユニリーバなど、強力なライバルが存在します。
それらの会社の製品と比べて一歩抜きん出るのは容易ではありませんし、商品の優位性がないと業績も株価も伸び悩みます。
米国株のファイザー(PFE)も2009年の底値から12年間で株価は5.5倍に上昇し、近年は配当利回りも4~6%をつけるといった高配当ディフェンシブ株です。特に、新型コロナのワクチンを早くから開発し、2022年には2019年比で1.9倍以上の売上成長を記録しました。
しかし、コロナワクチンに伴う成長は永続的ではありません。ワクチンが広く普及し、集団免疫が達成されると、ワクチンの需要は減少します。
その結果、ファイザーの株価は2021年の高値から下落を続け、わずか2年間で株価は61.71ドルから25.76ドルまで58%も暴落しました。
このように、一時的に強い商品があっても、競争力が低下したり市場状況が変化したりすると、株価は逆転下落するのです。
以上のように企業が好調であったとしても、その持続性には常に懐疑的になって情報収集する必要があります。いつの時代も株価が好調な時ほど、悪い材料には目が向かなくなりがちですので、注意しましょう。
児玉一希
株式会社RES 代表取締役
※本記事は『高配当10倍株投資 「高利回り×高成長」で資産を4倍速で増やす!』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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