損保会社に「一般職」で入社した女性、50代でまさかの「総合職(営業)」に転身→なんなく契約を受注できたワケ【人材開発コンサルタントが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月17日 10時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
平均寿命が延び続ける日本では、年々「老後」の期間が長くなっています。そこで考えておきたいのが「定年後のキャリア」です。人材開発コンサルタントである田原祐子氏の著書『55歳からのリアルな働き方』(かんき出版)より、50代で突然の職種変更を強いられた女性が成功した理由をみていきましょう。
一般職から総合職への転換命令で思わぬ才能を発揮!
現在50代の花沢さんは、ある損害保険会社に「一般職」として入社しました。営業担当者が効率よく営業に従事できるよういつも心を配り、細々したたくさんの書類もスピーディに作成する模範的な一般職として活躍しています。
年を重ねるほどに、仕事の熟達度も高まり、営業担当者からは、「花沢さんに任せておけば安心!」と評判も上々でした。
ところが、この会社にも数年前からRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が入り始め、事務作業が自動化されたため、以前と比較して明らかに仕事が減ってきたことに危機感を感じていました。
なかでも、経費の計算等に代表される単純業務は、24時間働き続けるRPAに完全に代替されました。そのため、社内の研修担当者からは、彼女たちに対して、「一般職から総合職、とりわけ営業職への転換を促す」話が、ちょくちょく持ちかけられるようになってきました。
一方で、花沢さんをはじめとする女性チームのメンバーの多くは、「自分にはサポートはできるが、営業は向いていない」と、頑なに思い込んでいました。
ある日、人材開発のコンサルタント(私、田原です)の研修を受け、男性営業担当者と同じような働き方をしなくても、今は、メール等を通じてソフトなアプローチをする、新しいスタイルの営業活動があることを知りました。
「長年営業サポートを手がけてきた、彼女たちならではのきめ細やかさ」が強みとして活かせる、ホスピタリティを大切にした営業スタイルです。
花沢さんが、「できない」と思い込んでいた営業スタイルは、古い営業スタイルでした。今は、Web面談なども活用したスタイルが主流だと聞いて、営業にチャレンジしてみようと、一大決心します。
営業にチャレンジ→“無理なく”成功できた納得の理由
最初は恐る恐るお客様にアプローチをしていましたが、実際にメールや電話等でコンタクトを取ると、意外に上手くいきます。また、Web面談なら、対面ほどのドキドキ感もありません。
それ以上に驚いたのは、これまで自分が営業サポートとして細々した対応をしてきた「経験知がそのまま活かせる」ことです。それもそのはず、営業マンをサポートしていれば、営業の流れも熟知していますし、初回面談から契約に至るまで、何を準備しなければならないかなど、抜け漏れなくできます。
営業にチャレンジしてまもなく、花沢さんは一件目の契約を受注しました。自分なりの無理のない営業方法だったことから、「営業は大変」「営業はキツイ」というイメージは、自分の思い込みだったと気づき、メキメキ手腕を発揮し始めました。
そんな花沢さんの様子を見ていたチームの一般職の女性たちは、「あんなふうにお客様に寄り添う営業スタイルなら、私もできそう!」と、次々に営業にチャレンジし始めました。
チームで取り組めば、互いに相談もでき、何かと心強いものです。こうして、この損害保険会社では、一般職から総合職に転身した営業ウーマンが次々と誕生し、今も彼女たちなりの営業スタイルで驚くほどの成果を上げています。
【解説】
「一般職」とは、「総合職」や組織をサポートする職種であり、通常はジョブローテーションや転勤がありません。
これに対して、総合職とは、営業・企画開発・技術等といった企業を支えるコア業務であり、ジョブローテーションや転勤がある職種です(一般職と総合職の区別がない企業もあります)。
ところが、RPAやAIの進化によって、一般職の仕事が現時点で少なからぬ影響を受けています。2021年11月30日の『日本経済新聞』では、「私の仕事がなくなる前に事務からIT、学び直し急ぐ」という見出しの記事が大きく掲載され話題になりました。
事務系の仕事はRPA、AIの普及によって代替されることが予想されるため、リスキリングしなければ、仕事がなくなる可能性があることを示唆しています。
花沢さんは、社内で長年同じ部門に留まっており、その仕事が固定席のようになっていました。こうなってしまうと、他部門の仕事に対して、「自分にはできない」「向いていない」という、拒否感や固定観念がついてしまいます。
一方で、特に一般職の方々や他部門をサポートしている職種の方は、社内の年間の動きを俯瞰して仕事の流れをよく把握しているものです。なかには、他の部門の仕事のやり方を見て「効率悪そうだな」「私なら、あんな仕事の仕方はしない」と感じることも多々あると思います。
「私には無理」という思い込みを払拭して、新しい部門の仕事にチャレンジしてみましょう。
田原 祐子 人材開発コンサルタント/ナレッジ・マネジメント研究者
外部リンク
- 「定年まで働くぞ」年収550万円、会社に尽くした65歳男性の後悔…「64歳11ヵ月」で退職した年収400万円の同期を羨んだワケ【CFPが解説】
- もったいない!…設備メーカーに勤める55歳“普通の”サラリーマン「嘱託勤務」の予定が一転、「高い給与で」転職に成功したワケ【人材開発コンサルタントが解説】
- 「贅沢はカップ酒におでんの出汁割り」…ピーク時の年収は1,400万円、“都落ち”した64歳独身・元銀行員の末路【FPの助言】
- 手取り13万円、実は「元・大企業部長」の75歳コンビニバイト…勝ち組エリートたちが「定年後も働き続ける」残念な理由
- ぜひウチでも!→61歳で「関連会社の部長」に就任…50代・役職定年間近の“左遷社員”が起こした逆転劇【人材開発コンサルタントが解説】
この記事に関連するニュース
-
夫の会社が倒産!“社長夫人”から“平社員の妻”となった50代女性「私も働こう」…職歴なしでパートをはじめた結果【人材開発コンサルタントが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月31日 10時15分
-
保険会社の50代営業課長「役職定年前に左遷」の悲劇から一転、「人事部の部長」に転職できた理由【人材開発コンサルタントが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月24日 10時15分
-
社員「家を買いました」 会社「きみ、転勤ね」⇒じゃあ会社辞めます…社員の意欲を根こそぎ奪う“昭和人事”
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月18日 8時0分
-
総合商社を辞めた人の退職理由 人気があって高スコアなのに、なぜ?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月14日 6時40分
-
60歳で定年退職→同業種で起業…出版社の元編集長が“ワンランク上”のキャリアを手に入れられたワケ【人材開発コンサルタントが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月11日 10時15分
ランキング
-
125年末まで減産延長=油価下支えへ―OPECプラス
時事通信 / 2024年6月2日 23時29分
-
2「富士山を黒幕で隠す」日本のダメダメ観光対策 「オーバーツーリズム」に嘆く日本に欠けた視点
東洋経済オンライン / 2024年6月2日 8時0分
-
3マイナ保険証の利用者増で「20万円」を病院に支給!?「受診する側」にメリットはないの? 狙いと内容について解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月2日 5時0分
-
4なけなしの貯金と「年金月14万円」で暮らす70代女性、冷房代が払えず「“タダで涼める”スーパーへ避難生活」が続くも…「店長のひと言」で人生が一変したワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月29日 9時0分
-
5万博「経済効果」は2.9兆円? 国と民間、大阪府市で異なる予測の数字なぜ
産経ニュース / 2024年6月2日 18時43分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください