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加入するだけで“社員の手取り給与額”が増える!?…「関東ITソフトウェア健康保険組合」とは【税理士・公認会計士の助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月20日 7時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏は、「関東ITソフトウェア健康保険組合」には多くのメリットがあるといいます。今回は「IT健保」の詳細と、その加入条件を具体的にみていきましょう。

あまり知られていない“IT健保”の大きなメリット

――「関東ITソフトウェア健康保険組合」(通称:IT健保)という健康保険をご存じでしょうか。

これは主にIT企業が加入している健康保険で、一般的にはあまり知られてはいませんが、実は保険料が安く、福利厚生がかなり充実しています。

そもそも「健康保険」とは?

――IT健保も健康保険の1つですが、そもそも健康保険とはどういうものですか?

黒瀧氏(以下、黒)「健康保険は、みんなが元気に健やかな毎日を安心して暮らせるように、という目的から生まれた制度です。

働いている人たちは普段からその収入に応じて保険料を出し合い、これに事業主である会社も保険料を負担します。病気・ケガ、出産、死亡などのときに必要になる医療や現金を、従業員や会社の保険料から支給する、助け合いの仕組みになっています」

――では健康保険組合には、どんな役割がありますか?

黒「健康保険組合とは、健康保険の仕事を行う公法人で、役割としては

・病気やケガなどの時の金銭的補助

・組合員の健康づくり支援

という2つがあります。

もう少し詳しく解説すると、1つ目の役割は、本人や家族の病気・ケガ・出産・死亡などのとき、医療費を負担したり、いろいろな給付金を支給し金銭的に補助をするというものです。

もう1つは、加入者本人と家族の、健康の保持増進を図る事業を行う役割です。保健のPR、病気の予防・健診、体力づくりイベントなどです。

最近は保健事業の一環として、健康保険組合には、40歳以上75歳未満の加入者と家族に対して、メタボリックシンドロームに重点を置いた健診の実施と健診結果に基づく保健指導を行う義務があります」

――わたしも、以前指導を受けました。予防的なこともやってくれるのもありがたいですね。では、誰でも好きな健康保険組合に加入できるのでしょうか。

黒「所属する組織や年齢などで加入できる健康保険は決められています。大きく分けて、

●組合健保

●協会けんぽ

●国民健康保険

●後期高齢者医療制度

という4つがあります」

健康保険組合ごとの特徴

――それぞれ少し解説してもらえますか?

黒「まず1つ目が、組合管掌(くみあいかんしょう)健康保険、通称「組合健保」で、単独の会社や同じ業種の会社が共同で設立して、厚生労働省の認可を受けて運営しています。

他の健康保険に比べて保険料率や保健事業などのメリットが多く、独自の事業で加入者の健康をサポートしています。

2つ目が全国健康保険協会管掌(かんしょう)健康保険、通称「協会けんぽ」で、働く会社やグループが健康保険組合に加入していないとき、加入します。通常、事業の設立初期は「協会けんぽ」に加入することが多いと思います。

3つ目は国民健康保険で、自営業や、学生、無職の方などが加入します。

4つ目は後期高齢者医療制度で、75歳以上の高齢者の方は、すべて加入します」

「IT健保」を深堀

――今回取り上げているIT健保は、この内のどれになりますか?

黒「関東ITソフトウェア健康保険組合は、この中でいうと、1つ目の「組合健保」にあたります。

もともとは(社)日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会を設立母体として、昭和61年4月1日に設立され、協会けんぽに代わって健康保険に関するすべての事業を行っています。加入条件は厳しいですが、保険料率が安く、福利厚生が充実しています。

ちなみに令和5年6月末現在での加入状況は、図表のとおりです」

――なるほど。では、メリットはどんなものがありますか?

黒「3点あります。

1.保険料が安くなる

2.付加金が給付される

3.さまざまな保険事業

というものです」

IT健保のメリット①保険料が安くなる

――ではまず、保険料からみていきます。一般的な中小企業が加入する「協会けんぽ」と比較すると、どのくらい保険料がお得なんでしょうか。

黒「事業主、被保険者共に、一般保険・介護保険料の合計が「協会けんぽ」より少ない負担となります。

図表2の通り、一般保険料率が協会けんぽは50/1,000ですが、IT健保の加入者は42.5/1,000ということで、事業主負担、被保険者負担共にだいたい15%ほど保険料が安くなっています」

――会社も社員も15%も保険料で得できる制度なんですね。1年の保険料に換算すると、どれくらいお得なイメージになるのでしょうか。

黒「たとえば、一般保険料のみの比較となりますが、被保険者20人、平均の標準報酬月額380,000円、賞与等が7月支給分380,000円、12月支給分380,000円の事業所を仮定した場合、図表3のようになります」

黒「一人ひとりの差額はわずかでも、会社全体で支出する差額は年間1,596,000円にもなります」

――会社全体で1,590,000円、個人一人ひとりで見ても40,000円も負担が減るのですよね。弊社も加入して訳8年になりますから、1,000万円ほど得していると思いますね。もちろん社員も大いに得できています。

IT健保のメリット②付加金が給付される

――では、次の「付加金が給付される」というメリットはどんなものでしょうか?

黒「はい、病気やケガ、出産、死亡に際した場合、健康保険では一定の給付が行われます。

給付には、法律で定められている法定給付と、各健康保険組合が独自で行う付加給付とがあります。協会けんぽには付加給付はありませんが、IT健保では付加金が給付されます」

====ポイント====

IT健保では付加金が給付される

――そうなんですね。どんな付加金が給付されるのですか?

黒「たとえば、被保険者の奥さんが妊娠4ヵ月以上で子供が生まれたときに、協会けんぽでももらえる通常の420,000円の家族出産育児一時金に加えて、付加給付として別途90,000円がもらえます」

――これは私ももらいました。

黒「何かとお金が必要なタイミングで、こういった追加の給付があるのはありがたいですね。

他にも病気・怪我の時や亡くなったときの付加給付なども充実しています。

たとえば被保険者が亡くなったとき、埋葬料として法定給付50,000円に加えて、150,000円の付加給付があります。

IT健保のメリット③さまざまな保険事業

――ではメリット3つ目の「さまざまな保険事業」というのは、どんなものですか?

黒「はい、加入者の健康保持・増進のための事業として、健康診断を受けられたり、ウォーキングイベント・ゴルフ大会などを実施したりしています。たとえば通常3~40,000円かかる人間ドックが、10,000円ほどで受けられます」

黒「また、保養所などの保健施設が充実しています。たとえば、上記のような直営保養施設の他、通年保養施設が1泊5,500円で利用できます」

――わたしも利用しています。宿泊だけでなく料理も美味しく、普通であれば15,000円はしそうな施設も、5,500円で泊まれるんですよね。

黒「それはお得ですね」

――昨年もこれを使って、南紀白浜へ社員旅行に行きました。それ以外にも旅行パックのようなものもあり、申し込むと1回につき上限10,000円の補助が出ます。これは年度内2回まで使えます。

黒「他にも良く使うものはありますか?」

――ディズニーランドやUSJなどに格安で行けるイベントもあります。たとえば「令和5年度健歩大会(東京ディズニーランド®・東京ディズニーシー®)実施要領」では、大人は3,000円、中学生・高校生は2,500円、幼児・小学生は2,000円の補助が出ます。

「健歩大会」という名はついていますが、3ヵ月の間から好きな日を選べ、パーク内では自由行動で楽しむことができます。

黒「テーマパークも値上げが相次いでいるので、少しでも入場料の補助が出るとありがたいですよね」

――その他、会議室が格安で利用できたり、キャンプ場の利用で補助が出たりと、さまざまな福利厚生があるのでおすすめです。

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士

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