観光船沈没事故うけ携帯電話の圏外エリア解消に太陽光発電設置計画 自然保護団体が見直し求める 知床半島
HTB北海道ニュース / 2024年5月17日 16時14分
おととしの観光船沈没事故を受け、知床半島では携帯電話の圏外エリアを解消するため、太陽光発電設備の設置が計画されています。これに対し自然保護団体が見直しを求めています。
総務省総合通信基盤局荻原直彦電波部長)
「基地局整備をシンボル的存在といたしまして知床観光の安全安心を期待したい」。
先月、オホーツクの斜里町で総務省などが、知床半島における携帯電話の通信エリア拡大について、町や携帯電話事業者などと話し合いを行いました。きっかけとなったのはおととしの観光船事故。当時、「KAZUI」の船長は携帯電話を通信手段としていましたが、事故現場は圏外でした。そのため総務省などは新たに基地局を設置し来年3月までに知床半島での圏外エリアを解消する計画を進めています。
羅臼町・湊屋稔町長)「まだまだあの事故の傷は癒されていないが知床半島に来る方々が本当に安心してこのフィールドで楽しんでいただけることを目指したい」。
基地局の1つは知床岬灯台に設置されますが、電源が近くにありません。そのため総務省などは、サッカーコート1面分に相当するおよそ7000平方メートルに264枚の太陽光パネルを設置する計画を立てています。また、そこから灯台までのおよそ2kmの土を掘り返し電線などを埋める予定です。世界自然遺産であり国立公園でもある知床での太陽光発電設置工事。自然保護団体は「知床の自然を脅かしかねない」と国などに意見書を提出しています。
日本自然保護協会保護・教育部大野正人部長)
「普段人が入らないエリアなので、工事の人たちによるクマなどの生物の影響がある。
世界自然遺産、厳正な自然が残されたことが意味がある。そこに太陽光パネルがひかれるというのはもっと慎重に考えるべき」。
こうした声に対し環境大臣は。
伊藤信太郎環境大臣)
「希少植物の生育地点を避けて設備を設置するなど影響を軽減する措置が取られた計画となっております。知床世界遺産の顕著で普遍的な価値である陸と海の生態系の連続性、生物多様性に影響する可能性のある大規模な工事に該当しないと認識しております」。
知床の世界自然遺産地域の管理に関わる専門家は。
北陸先端科学技術大学院 大学自然資源管理学・敷田麻美教授)
「携帯電話が唯一の安全性向上策なのか、合理的な理由だと説明できることが必要だと考えていた。こうした重要な案件は関係者が一同に集まってオープンな場で検討する必要があったと思う」。
携帯電話が通じる安心安全な知床。
貴重な自然と景観を守りながらその目標を実現することはできるのでしょうか。
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