1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「配属ガチャ」対策を進める企業が、一度立ち止まって考えるべきコト

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月24日 8時15分

 ここで一度顧みたいのは、ガチャ対策の人事施策はメリットだけなのかという点です。

 そもそも配属先が自分で選べない場合でも、企業はその人物の能力などを判断して、一定の適性のある部署に配属するよう考慮します。それが経営ビジョンに基づいた人員計画の全体最適だからです。

 確かに、個人で見た場合には「希望と違う」という最初のガッカリはあるかもしれません。しかし「やってみたらこんな適性があった」といった発見もよくあります。

 特に新卒の場合は未経験のため「自己分析した適性」と「企業側から見た適性」が一致しないことも多くあります。そのような場合、本人の希望通りに配属した結果、生まれるかもしれなかった能力を逃すことにつながるのです。

 また、中長期の視点として幹部育成を見据えた際、マネジメント能力やトラブル対応能力は必須になります。自分の希望のみの経験値で、例えばチームリーダーになった場合、想像力や判断の幅もそのサイズになります。結果、自分の仕事はできるが、組織の動きは悪いという状態になりやすいのです。

 このように、主体的にキャリアを選択し成長していったと思いきや、人材育成という長期的なビジョンを俯瞰で見た場合、ハコの中で頭打ちになった人材になってしまうというデメリットも含んでいるのです。

●重要なのは上司のフォロー

 「新卒で応募し、企業に採用された」ということは、ともに働き、成長したい気持ちは一致しています。

 新卒社員からすれば、希望通りの配属になってもならなくても「思ってたのと違う」という感覚は多少はあるはずです。それを「ガチャに外れた」ではなく「成長を見据えた結果の着地」という認識にするのは、育成側のフォローにかかっています。

 本人の希望はしっかり把握したうえで、配属の理由を丁寧に説明することが必要です。さらに「ここを評価している」「実はここの能力が高い」「〇年後にはこうなってほしい」などと、評価や希望を配慮した上で、期待している未来像をしっかり説明することが重要です。定期的な1on1やメンター制度を入れるなど、密なコミュニケーションが本人の納得感や心理的安全につながります。

 情報を開示し、近い将来像を話し合い一緒にキャリアを構築していくことで、安易なリセットはなくなります。結果、変化に対応できるしなやかな人材が育ち、最終的にはそれが経営ビジョンに合致した持続可能な企業になるのです。

著者紹介: 鈴木麻耶 (すずき・まや)

社会保険労務士、採用定着士。大槻経営労務管理事務所所属。

実家の寺院を継ぐことになり、子の小学校入学を機に夫とともにUターン。現在フルの在宅勤務。

事業規模、業種ともさまざまなクライアントを担当し、「離れていてもできる! 伝わる! やりきれる!」を実践中。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください