2025年以降のSAFの使用義務割合を発表(英国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月10日 9時50分
英国政府は4月25日、2025年以降に燃料事業者に義務付ける持続可能な航空燃料(SAF)の使用割合を発表した。2025年は2%、2030年10%、2035年15%、2040年22%とした(添付資料表参照)。議会の承認を経て2025年1月から施行される見込み。
SAFの使用義務付けは、航空業界の2050年までのネットゼロ(「ジェットゼロ」)達成に向けた手段の1つとして、2022年7月に政府が発表した「ジェットゼロ戦略」で示していた(2022年7月28日記事参照)。同戦略で、2030年までに少なくとも10%とすることを義務付けるとしていたが、2025~2030年と、2030年以降の義務化割合については、2023年3~6月に意見公募が実施されていた(2024年4月18日付地域・分析レポート参照)。
政府は今回の義務化割合について、野心的だが達成可能なものと説明。これにより年間120万トンのSAFが英国の航空産業に供給され、2030年までに英国全体には18億ポンド(約3,492億円、1ポンド=約194円)の経済効果と1万以上の雇用創出が見込まれる。
政府は、SAF産業の成功と強靭(きょうじん)性確保のためには、SAF生成の幅広い技術や原料が必要として、SAF生成に利用可能な技術についても定めている。水素化処理したエステル、または脂肪酸(HEFA)の利用は2026年までは100%認めるが、2030年は71%、2040年は35%の上限を設定する。一方で、再生可能エネルギーなどを用いた合成燃料の製造と利用を促進すべく、パワー・ツー・リキッド(PtL、注)利用の義務化を2028年から導入する。詳細は意見公募に対する政府回答文書を参照。
1月には13件のSAFプロジェクトに計1億3,500万ポンドの資金提供を発表するなど、政府はSAF産業の発展を積極的に後押ししている。同じく4月25日には同産業への投資を呼び込むため、SAFの収益性を確保するためのメカニズムへの意見公募を開始。6月20日まで意見を募集する。
(注)再生可能エネルギー由来の電力などを利用して液体燃料や化学物質を合成する概念。
(牧野彩)
(英国)
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