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《海外売春の実態》ロスへ出稼ぎに向かった女性が逮捕に怯えながら「稼いだ金額」

週刊女性PRIME / 2024年5月15日 6時0分

海外に行ってパパ活をする日本人女性が増加している(写真はイメージ)

 コロナ禍で困窮している女性たちを取材していたころ、ふとしたきっかけで年上の男性から貢いでもらう「パパ活」に手を染めた普通の女性たちのケースに数多く出合った。さらに仕事が激減したセクシー女優をはじめ、夜職の女性たちの一部が海外出稼ぎ、つまり売春行為を行っているという事実にも驚かされた。

女性の単身旅行者は売春を疑われる

 組織ぐるみで行われていたその実態を知るうちに、コロナ禍が収束しても海外出稼ぎの流れが続いているのではという危惧を感じたものだ。それを裏づけるように今年の4月2日、日本人の30代女性と20代女性にアメリカでの売春を斡旋したとして、日本人男性4人が逮捕された。

 男性らが海外出稼ぎの求人情報をサイトに掲載すると、それを見た女性がブローカー である男性らに連絡。男性らは海外の売春組織に女性を紹介し、紹介料を受け取り、海外の売春組織が女性に報酬を支払うという流れだった。

 海外で売春する女性と自分は関係ない、と油断してはいけない。女性の単身旅行者はアメリカをはじめとした空港で売春を疑われ、取り締まりが強化されているのだ。

 実際に海外売春をした女性とその知人女性の生々しいLINEのやりとりから海外出稼ぎの実態と共に、一般の女性がこの騒動に巻き込まれない方法をお伝えしたい。

「コロナ禍の2021年の夏、私が女子大生のころに夜職で一緒に働いていたミホちゃん(仮名・当時30歳)から、海外出稼ぎでロスへ行くと連絡があったんです。海外は危ないと止めたのですが、すでにロスへ渡る3日前のことでした」

 そう語るのはWEBクリエイターの里美さん(仮名)。里美さんのセクキャババイトの同僚だったミホさんは風俗店を転々とし、単体(※)のセクシー女優になった。ところがコロナ禍で撮影やイベントの仕事が次々と中止になり、困窮していたという。

(※)セクシー女優の中でも外見や知名度、人気などでヒット作品を見込める女優のこと

「ミホちゃんは実家にいる病気の母親に仕送りをしたり、ホストに貢ぐためにお金が必要でした。コロナ禍で困窮したミホちゃんに、ホストが知り合いの風俗店のボーイを紹介。そのボーイから海外出稼ぎを斡旋するサイトを紹介されたと言っていました。Xで大々的に募集をしていて、『剛』という性別不明の換金係から指示があったそうです。その上に中国人のボスが君臨しているという組織でした」(里美さん、以下同)

500万円稼げるそんなもくろみが

 海外出稼ぎの期間は2週間。セクシー女優のトップクラスなら、2週間で1000万円を稼げると斡旋したボーイが教えてくれたという。ミホさんは30歳だったが、20代に見えたため、ボーイから500万円は堅いと言われた。しかし─。

「ミホちゃんは『剛』とのビデオ面接でお腹がたるんでいるという理由で、60分2万円と低額なギャラを示されました。でも“チップで稼げるから”と説得されたため、承諾したそうです」

 剛からの指示で「ロスに観光」という名目で成田からフライトし、到着後、ロスの空港でコロナの陰性証明を見せると、簡単に入国できた。

「指示はすべて剛からのLINEだったそうです。ロスの空港の外で彼女を出迎えたのは“ママ”と呼ばれる女性。サングラスにマスク姿で日本語も英語も話し、ミホちゃんいわく日本人ではないアジア系の人だったそうです。

 そのママに市内のホテルまで送ってもらい、そこで1泊。観光名目のアリバイづくりのために“1日観光をするように”という剛からの指示に従いましたが、ロス警察に逮捕されるのではと、ずっとビクビクしていたそうです」

 入国時の観光目的というやり方は今でも変わっていない。ミホさんは翌日、ホテルからロス郊外の売春宿へ。そこは豪邸のような佇まいだった。

「おしゃれなインテリアで飾られた部屋に豪華なダブルベッド。バスとトイレは高級感が半端なく、ミホちゃんはそこで1日12時間、客の相手をしたそうです」

女性の扱いは劣悪

 見てくれは豪華な“娼館”だが、女性の扱いは劣悪だった。食事は朝と夜の2回だけ。果物とフレークの朝食と、夕飯はハンバーガーのみ─。

「11時に起床し、売春宿へ移動。出勤確認が終わると12時から深夜0時まで12時間働かされ、就寝は深夜の2時ごろ。ホテルの部屋にはベッドと小さなデスクのみで、テレビはなかったそうです」

 世話係はママで、客はほとんどが当日に決まるという。たまに予約が入るが、当日まで教えてもらえなかった。

「プレイは日本のソープに近くて、ゴムをつけての本番。客からチップをもらうように、中国人ボスから命じられたそうですが、チップを払ってくれる客はほとんどいなかったと嘆いていました」

 客のほとんどが中国人で、中には巨漢の黒人や、でっぷりと太った中年の白人もいたという。その約半数は薬物中毒者にも見えたそう。

「売春宿にいる中国人のボスが各部屋にカメラを設置して、監視も行っていたそうです」

 そんな環境で必死に“お務め”を果たし、14日間の海外出稼ぎが終了したミホさん。
逃げるようにロスを離れた彼女だが、日本に帰国するまで、当局に踏み込まれるのではという恐怖に怯えていたという。肝心の稼ぎは、帰国してからの振り込みだったが─。

価格破壊の原因は一般女性の“参入”

「帰国前に換金係の剛から、2週間でチップを含んだ金額が250万円とLINEで伝えられたそうです。予想よりもかなり低く、しかもすぐに払ってくれなかったそうです」

 ミホさんは結局、手数料を引いて180万円しかもらえなかった。コロナ禍で海外出稼ぎが加速したが、実は30年ほど前から行われていたと、風俗業界に詳しいジャーナリストの酒井あゆみさんは、こう指摘する。

「30年前は、ドバイの石油王が自家用ジェットで、マネージャー同行のAV単体のセクシー女優を迎えに来たものです。金額は1週間滞在で1000万円。そのうちプレイをするのは2~3日。ブローカーにも1000万円が支払われました。ただ売春法違反での逮捕が怖いため、希望者は多くはなかったそうです」

 ところが、10年ほど前から一般女性による「ギャラ飲み」や「パパ活」といった個人での“営業”が増えたころから、海外出稼ぎが素人にも広がり、結果、売春の金額も低下していったと酒井さん。

「素人というのは、単体のセクシー女優になれない風俗嬢や、風俗でも稼げないからパパ活をやっている女性たちです。値崩れしたのは、素人が海外売春の後で現地の人と親しくなり、自分たちがエージェントになってから。相場を知らないからどんどん下がり、またワキが甘いから当局にマークされやすくなった」

 海外売春のヒエラルキーは、1番人気がグラビアのモデル、次にセクシー女優。その下に素人というランク付けだという。以前はグラビアモデルの相場が2週間で1000万円以上だったが、この1年で半分以下に、さらに単体のセクシー女優でもその半分以下に。その下の素人となれば、相場の下落は言うまでもない。

「2週間で160万円しか稼げなかった女性もいます。しかも客の中国人も含め、外国人男性は日本人男性に比べて性欲が旺盛なので、1回で3~4時間もざら。また日本人女性らは語学が堪能でないため、言いなりにならざるを得ないんです」(酒井さん)

 中国人は“オレ様タイプ”がほとんどで、客はミホさんのケースで前述したように薬物中毒者に見える人物も少なくない。身の危険はもちろん、1度でも海外売春で逮捕されると、2度とその国に入国できないというリスクもある。

「海外出稼ぎは恐怖を覚悟して行くのが当たり前。それ以上に、入国禁止のリスクがいちばんこたえるという人もいます」(酒井さん)

 売春の取り締まりが厳しくなったアメリカでは、売春を疑われた20代から30代の単身旅行の日本人女性が、空港内で足止めをされることが増えている。特に『シグナル』という、一定の時間がたつとメッセージのやりとりが消えるアプリをスマホに入れていると、当局から目をつけられる。ある旅行関係者は、

「若い女性が単身で旅行する場合、現地の知り合いの名刺を持っていくなど、海外売春を疑われないような準備をするべきでしょう」

 と話す。海外売春という違法行為に走る女性が、なぜ増えているのか? 生活の困窮、ホストに貢ぐため……、根本的な問題の解決なしでは“闇”はますます広がっていくだろう。

<寄稿/夏目かをる>

コラムニスト、小説家、ライター。恋愛、婚活、結婚などをテーマに取材・執筆活動を行う

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