息子が不登校に「地域とつながれば、生きていける」 子どもらの学び見守る集い、運営する女性らの思い
京都新聞 / 2024年5月17日 7時30分
1時間からでも気軽に参加してほしい。そんな思いを込めて名付けたグループ「いちあわあ」で、地域の大人と子どもが楽しく交流できる場づくりを進めている。目指すのは、机に向かう勉強だけでは得られない「まなび」を提供することだ。
グループの会長を務める横田優美子さん(43)=滋賀県大津市=は12年前、長男の誕生を機に京都市から移住した。夫婦共働きで子育てに励む日々。子どもと接する時間がどうしても少なくなってしまうことが気がかりだった。
周囲をみても、両親が昼間にいない家庭は珍しくない。だが、ふと思った。子どもたちが生きていく上で必要な知識や知恵を得られる時間は、昔に比べて減っているのではないか。保護者とともに地域の大人が子どもを見守り、はぐくめる場が重要ではないかと考えたことが、活動の原点になった。
「いちあわあ」が重視するのは、子どもたちの試行錯誤の過程だ。スタッフの大人は見守り、サポート役に徹する。堅田コミュニティセンター(大津市本堅田3丁目)を拠点に月2回開いている「生活学びプログラム」は、毎回の活動を子どもたちが考える。トイレットペーパーの長さをメジャーを使わずにどうしたら測れるか、砂糖入りと甘味料入りの炭酸飲料の違いは何か…。子どもたちの疑問から生まれる活動はユニークだ。
子どもの居場所づくりとともに、親子が悩みを相談できる「親と子のおしゃべり会」の開催にも力を入れている。横田さんとともにグループを立ち上げた副会長の松清洋子さん(51)=同市=は長男が一時期、不登校だった。「地域のいろんな人とつながることで、普通のレールを歩まなくても生きていけると子どもたちに知ってほしい」。そんな思いが活動を支えている。
親も子も、今は問題がなくても、いつ壁にぶつかるか分からない。横田さんと松清さんは「この居場所で地域とつながりをつくっておくことが、深刻な事態になることを防げる。親も子も、自分が認めてもらえる場としても機能できれば」とグループの将来像を描く。
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