「もはや本人だろ」「ひと言で期待値爆上がり」違和感がまるでない奇跡の声優交代劇
マグミクス / 2024年5月20日 18時10分
■「あれっ、ホントに代わった?」
アニメの声優は基本的に何年経っても同じキャラクターを演じ続けるものですが、ときにやむを得ない事情で担当声優が変わることがあります。最近でいえば、アニメ『ちびまる子ちゃん』で34年にわたって「まる子(さくら ももこ)」を演じてきたTARAKOさんが亡くなり、新たに菊池こころさんが抜擢されました。
慣れ親しんだ声が変わると違和感が生まれるものの、まる子への愛情を感じさせる菊池さんの演技はとても自然で、ファンからも温かく受け止められています。そこで今回は、同じように「声優交代がファンに受け入れられたアニメ」の数々を振り返ってみましょう。
まず代表的なのは、『機動戦士ガンダム』を筆頭とした宇宙世紀シリーズにおける「ブライト・ノア」の声優交代です。ブライトの声を20年以上も演じた鈴置洋孝さんは、2006年に56歳という若さで亡くなっています。没後しばらくは生前に録音された音源が使用されていましたが、ブライトが登場する新たな物語『機動戦士ガンダムUC』が制作されるにあたって『犬夜叉』の「殺生丸」などで知られる成田剣さんに白羽の矢が立ちました。
鈴置さんと比べて声質こそ若干異なるものの、成田さんの声も往年のガンダムファンからも受け入れられています。なかには「初代と声優が違うことにまったく気付かなかった」という声もあがっていました。
ちなみに成田さんが後任に選ばれたきっかけは、何を隠そう殺生丸です。『機動戦士ガンダムUC』を手掛けた小形尚弘プロデューサーはアニメ『犬夜叉』も担当しており、語尾のニュアンスがブライトを感じさせたことから抜擢に至ったといいます。
「違和感がない」という意味では、ディズニー映画『アナと雪の女王』の「オラフ」も負けてはいません。初代オラフの日本語吹き替えを担当していたピエール瀧さんは、2019年に不祥事を起こして降板となり、その後任として声優の武内駿輔さんが選ばれました。
武内さんは『アイドルマスター シンデレラガールズ』のプロデューサー役や「KING OF PRISM」シリーズの「大和アレクサンダー」などで知られている声優で、若手とは思えない渋めのバリトンボイスが特徴的です。見事な演技力によって、違和感のない二代目オラフを生み出しました。
ネット上のファンからも「そのまんま過ぎてすごい」「聴けば聴くほど違和感がなくなる」「もはやオラフ本人だろ」といった声が相次いでおり、いまなお語り草となっています。
■「やれやれだわ」のひと言で“沢城みゆき派”を圧倒?
画像は『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』キービジュアル (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険SO製作委員会
アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』の主人公「空条徐倫」の担当声優といえば、ファイルーズあいさんですが、実は2013年に発売されたゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』では、沢城みゆきさんが徐倫役を演じています。そのためアニメ版でファイルーズあいさんが抜擢された当時は、不満を漏らすファンも少なくありませんでした。
しかしPVで新たな徐倫の声がお披露目されるや否や評価は一変、徐倫の口癖である「やれやれだわ」のひと言で、原作ファンを納得させたのです。当時のネットの反応を振り返ってみると、「『やれやれだわ』だけで徐倫のキャスト決定がドンピシャだと感じさせられた」「沢城みゆき派も納得せざるを得ない凄みがある」「『やれやれだわ』のひと言で期待値が爆上がりした」などの声が見受けられました。
一方、TVアニメ『ONE PIECE(ワンピース)』は20年以上放送されていることもあり、一時的なケースも含めて声優の交代が多い作品です。そのなかでも違和感のない声優交代劇を見せたのが、海軍大将「黄猿」こと「ボルサリーノ」でした。
もともとボルサリーノを演じていたのは、「ポケットモンスター」シリーズの「オーキド博士」などで知られる石塚運昇さんでしたが、2018年に逝去したため、後任として置鮎龍太郎さんが引き継いでいます。置鮎さんといえば、『BLEACH』の「朽木白哉」や『テニスの王子様』の「手塚国光」など、クールな二枚目キャラのイメージが強い声優です。ひょうひょうとした中年男性のボルサリーノとはかけ離れたイメージですが、アニメ第881話で初披露された演技は石塚さんに寄せた声質で、そのキャラクター像が見事に再現されていました。
なお2024年4月28日放送の第1102話では、ボルサリーノに加えてもともと置鮎さんが演じていたCP-0「カク」が登場します。まったく異なる声質でありながら、両者をみごとに演じ分けた置鮎さんに、多くの人から驚きの声があがっていました。
人気キャラクターの引き継ぎにかかるプレッシャーは、想像を絶するものがあります。声優の交代劇にこそ、声優という職業の過酷さと偉大さが詰まっているのかもしれません。
(ハララ書房)
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