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豪雨による洪水被害が広がるケニア──コレラやマラリアのリスクが迫る

国境なき医師団 / 2024年5月8日 12時4分

洪水で多くの住民が避難を余儀なくされている=2024年4月27日 © MSF/Lucy Makori

今年3月から豪雨が続くケニア。大規模な洪水が発生し、首都ナイロビをはじめとした地域で200人近くが死亡、数万人が避難を余儀なくされている。国境なき医師団(MSF)は、被災地の医療ニーズを調査し、緊急援助を開始した。ケニアで活動責任者を務めるハジール・エリヤスが現地の様子を伝える。

ケニア活動責任者 ハジール・エリヤスからの報告

洪水の被害状況は?

3月下旬以降、ケニアは例年にない豪雨に見舞われ、各地で洪水が発生しています。全国の47の郡の内およそ30の郡が深刻な影響を受け、多くの命が奪われたほか、インフラや日常生活が破壊されました。

政府の報告によると、死者は188人、行方不明者は90人とされ、この他にも多くの人びとが負傷したり、避難を余儀なくされたりしています。

MSFはこれまでケニアの保健当局と連携して医療援助活動を行ってきており、今回の洪水を受け、イーストランズ、ナイロビ、ホマベイなどでニーズ調査を行いました。イーストランズでは1000人近い人びとが複数の学校や行政施設などに避難していました。

被災地にはどのようなニーズが?

家族や友人を失い、急性の心的外傷を追った人も数は少ないながら確認されました。人びとはテントも衣類もないまま避難を余儀なくなれています。子どもたちの状況はより深刻で、低体温症に陥っている子も複数いました。

トイレが破損したことにより水と衛生の状況が悪化しています。安全な水が手に入らず、川の水を使っている人も少なくありません。当面のニーズとしては、避難場所、安全な水と衛生、医療、心のケア、慢性疾患の医薬品、食料などが挙げられます。

ある母親はこのような経験をしました。水がとても強く流れる中で、彼女は子どもをつかんでいました。夫が彼女を引っぱり、彼女は子どもを引っぱろうとしていました。しかしその瞬間、水に押されて子どもの手が離れてしまったのです。
彼女は、罪悪感と絶望、そして怒りが入り混じった複雑な気持ちで打ちひしがれていた。多くの人が彼女のように大切な人を失いました。だから、この時期の心のケアはとても重要なのです。

MSFはどう動いている?

4月26日にナイロビで活動を開始し、飲料水と衛生といった緊急のニーズに焦点を当てました。まず清潔な飲料水を約1万5000リットル配布し、200個の貯水容器を提供しました。さらに、衛生面の懸念に対処するため、被災者が集まるさまざまな場所に移動式トイレを設置しました。

多くの人が衣服も含めてあらゆるものを失っています。MSFは低体温症や呼吸器系の病気にかかりやすい子どもたち約500人に、暖かい衣服を配布しました。また、これまで外傷に対応してきたマサレの診療所「ラベンダー・ハウス」はその対応範囲を広げ、避難生活を送る人びとの幅広い医療ニーズに対応しています。また、洪水で子どもを亡くした母親など、急性の心的外傷を負った人に心理士がカウンセリングを行うなど、心のケアも提供しています。

ホマベイでは、約700人が学校などに避難していました。河川の氾濫による洪水のため、医療施設には大勢の人が押し寄せ、物資は底を尽きています。MSFは移動診療所を立ち上げ、基礎医療を提供。また、慢性疾患の患者をホマベイの医療施設につなぎ、継続的な治療を受けられるようにしました。さらなるニーズに応えるため、トイレなどの衛生設備の増設も計画しています。

ナクルでは鉄道トンネルに溜まった水が丘から流れ落ちて洪水となり、マイマヒウを襲いました。少なくとも50人が死亡し、多くの負傷者や行方不明者が出ています。インフラや家屋の破壊も深刻です。調査をしたところ現地の診療所で物資が不足していたため、包帯キットなどの医療物資を提供しました。

雨が降り続く可能性が高い中、今後のリスクは?

洪水がもたらす被害は、直接的なけがや避難にとどまりません。コレラのような水系感染症や、マラリアのような蚊が媒介する病気のリスクが高まります。MSFは、疾病の監視体制を強化し、病院と連携して、病気の流行に対応する準備を整えています。今も大雨が続いており、予報では5月上旬まで降雨が続くとされています。このような天候が続くと、家屋がさらに被害を受けるリスクが高まります。

洪水の影響は、生活、インフラ、心のケアに長期的な影響を及ぼします。MSFは緊急の医療ニーズに対応しますが、被災した地域を広く長期的に再建するためには、政府を含む複数のセクターによる持続的な取り組みが必要です。

洪水に関連する健康リスクは、呼吸器感染症、喘息発作、慢性疾患のための投薬治療の中断による合併症など、数多くあります。ケニアにはナイロビのようにコレラが季節的に流行する地域があり、その流行リスクも高まっています。洪水の影響で蚊の繁殖地が増え、マラリアが発生する可能性も高まります。さらに、洪水で建物の土台が影響を受け、建物が倒壊する危険性もあります。

MSFは引き続き、地域住民や地方当局、関係機関と協力して、ケニアにおける未曾有の洪水被害の影響を受ける人びとへ包括的な援助を提供していきます。

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