1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

静岡大、ヒトの脳が行っている「ベイズ推定」のより有効な活用方法を発表

マイナビニュース / 2024年5月8日 17時57分

画像提供:マイナビニュース

静岡大学は5月2日、タイミング課題中の「ベイズ推定」における「身体部位特異性」を解明し、2つの標的タイミングの分布に対してそれぞれ異なる身体部位を用いて応答することで、両分布を学び分けられるようになること、またその際に、手足のような離れた部位を用いる方がより早く学び分けられることを発見したと発表した。

同成果は、静岡大大学院 総合科学技術研究科 情報学専攻の松村圭貴大学院生、同・大学 学術院 情報学領域の宮崎真教授らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、学習と記憶に関する全般を扱う学術誌「npj Science of Learning」に掲載された。

ベイズ推定とは、観測された事実を用いてベイズ統計学に基づき、目的のパラメータを推定する手法のことをいう。近年、ヒトの脳はベイズ推定を用いて、課題標的の統計分布を学習し、最も成功確率の高くなる応答を計算していることがわかってきている。たとえば、野球において打者は、課題標的の統計分布(投球/打球の速度やコースの平均と分散など)を学習し、最もヒットとなる確率の高くなる応答を計算しているとされる。

しかし、ピッチャーが複数の球種やコースなどを使い分けてくるように、日常の課題では、標的にさまざまな統計分布が存在する(多様性の問題)。つまり、日常生活中でベイズ推定を効果的に利用するには、複数の分布を学び分ける必要がある。

そうした中で研究チームは、リズム動作の分析から身体部位ごとに異なるタイマーが存在するとする先行研究に基づき、タイミング課題における「身体部位特異性」の存在を予想。つまり、2つの異なる事前分布に対し、それぞれ異なる身体部位を割り当ててタイミング応答をすれば、両分布の学び分けが可能になるのではないかと考察したという。そこで今回の研究では、その検証のため、計56名の健常な男女(18~26歳)に参加してもらい、計7つの心理物理学的実験(うち2つは準備実験)を行うことにしたとする。

ディスプレイの注視点の左右いずれかに、3つの連続刺激(S1→S2→S3)が呈示されるという内容で、試行内で、S1→S2とS2→S3の刺激タイミング(TS)は同一で、参加者はS1→S2のTSからS3の出現を予期し、それと同時になるように応答がなされた。各試行のTSは、短時分布(速球)[424~988ミリ秒(平均712ミリ秒)]、長時分布(遅球)[1129~1694ミリ秒(平均1412ミリ秒)]のいずれかから、ランダムに選択され(両分布は、左右の刺激のいずれかに割り当てられた)、タイミング課題が640試行(40試行×16セッション)実施、S2から応答までの時間間隔(応答時間間隔、TR)が計測され、解析された。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください