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理科大、腸内細菌の代謝産物「エノン脂肪酸」が抗炎症作用を持つことを発見

マイナビニュース / 2024年5月8日 18時4分

画像提供:マイナビニュース

東京理科大学(理科大)は5月7日、腸内細菌の代謝産物が免疫応答に及ぼす影響について調べ、脂肪酸代謝産物「エノン脂肪酸」が樹状細胞の炎症反応を抑制すること、同脂肪酸の中でも「γKetoC」が最も優れた抗炎症作用を示すことを見出したと発表した。

同成果は、理科大 先進工学部 生命システム工学科の西山千春教授、京都大学 農学研究科の小川順教授、同・岸野重信准教授、東北大学 東北メディカル・メガバンク機構の山本雅之教授/機構長、理科大 薬学部薬学科の市原学教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、免疫に関する全般を扱う学術誌「Frontiers in Immunology」に掲載された。

最近の研究により、腸内乳酸菌「Lactobacillus plantarumplantarum」(L.plantarum)の酵素の触媒作用により、食品中の脂肪酸が飽和脂肪酸などの誘導体に変換され、その代謝中間体が代謝改善作用など、宿主であるヒトの健康に対して良い効果をもたらすことが明らかにされつつある。しかし、脂肪酸代謝産物が、免疫応答に与える影響については未解明だったとする。そこで研究チームは今回、個体・細胞・遺伝子レベルの解析を駆使して、腸内細菌の働きによって代謝された油成分が、免疫応答にどのような影響を与えるのかを解明することにしたという。

まず、L.plantarum由来の転換酵素を用いて、多価不飽和脂肪酸からヒドロキシ脂肪酸、オキソ脂肪酸、エノン脂肪酸が調製され、マウス脾臓より調製された免疫細胞を用いた調査が行われた。すると、エノン脂肪酸(KetoC、αKetoC、γKetoC)処理では、抗原刺激誘導性のサイトカイン(細胞間の情報伝達の際に分泌されるタンパク質)の分泌が著しく減少することが判明。一方、それらの代謝の出発物質では分泌が抑制されず、脂肪酸が代謝変換によって新たな機能を獲得したことが示唆されたとした。

さらに、単離された各種免疫細胞を用いて解析が進められた結果、エノン脂肪酸は、「リポポリサッカロイド」(LPS)など、さまざまな菌体成分によって引き起こされる炎症反応、特に樹状細胞からの炎症性サイトカイン分泌を強く抑制することが確認されたという。

次に、最も強い活性が示されたγKetoCを用いて、抗炎症効果が発揮されるメカニズムが調べられた。まず、長鎖脂肪酸受容体の「Gタンパク質共役型受容体」(GPCR)の関与を検証するため、Gq型GPCRのアゴニスト(作動剤)である「GW9508」で樹状細胞が処理された。すると、用量依存的に炎症性サイトカインの産生が抑制されたとする。樹状細胞には、GW9508反応性のGPCRのうちでGPR120が発現していることから、γKetoCはそれを介してLPS誘導性の樹状細胞の活性化を抑制することが予想されたとした。

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