慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するエドキサバンの第3相試験で良好な結果
QLife / 2023年11月30日 10時59分
ワルファリンのデメリットを克服した経口抗凝固薬が望まれていた
九州大学病院を中心とした研究グループは2023年11月14日、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension, CTEPH)を対象にエドキサバンの有効性や安全性を検証した第3相試験(治験)の結果を発表しました。良好な結果が示されたことから、今後CTEPHの適応追加の承認申請が行われる予定です。
画像は九州大学 ウェブサイトより
CTEPHは、肺動脈内の器質化血栓(十分な抗凝固療法を3か月以上行っても溶けない血栓のこと)により肺動脈の狭窄・閉塞が生じ、肺高血圧と右心不全を呈する疾患で、国内に約5,000人いると推定されています。
CTEPHにおいて最も基本的かつ重要な治療は抗凝固療法ですが、食事制限や頻回な採血を必要とするワルファリンのみが診療ガイドラインで推奨されており、これらのワルファリンのデメリットを克服した新規の経口抗凝固薬の開発が望まれていました。
ワルファリンに比べて肺血管抵抗の悪化はなく、安全性も問題なし今回の治験は、全国11の大学病院などで実施されました。ワルファリンを内服中のCTEPH患者さん74人が、エドキサバンまたはワルファリンを内服し、1年後の肺血管抵抗の変化や、経過中の出血や血栓症の発症などが評価されました。エドキサバン(製品名:リクシアナ)は経口抗凝固薬で、非弁膜症性心房細動、静脈血栓塞栓症、下肢整形外科手術施行の患者さんに使用される薬です。
その結果、エドキサバンを内服した患者さんの1年後の肺血管抵抗は、ワルファリンを内服した患者さんの肺血管抵抗と比べて悪化はなく、大出血や血栓症の発生も、2つの薬剤間で差はないことがわかりました。(QLife編集部)
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