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グーグルの「クチコミ」削除が難しい深刻な事情 主観的な感想だからこそ、高いハードルがある

東洋経済オンライン / 2024年4月20日 11時0分

しかし、感想や論評であっても、ネガティブなクチコミによって事業者が受ける損害は大きい。実際、相談者からは「書き込まれてから新規の問い合わせが明らかに減り、売り上げが前年比50~60%減になった」「ネガティブなクチコミをきっかけに、実際の利用者とは思えないクチコミが書かれるようになった。自分のような小さなクリニックでは死活問題だ」といった声を聞く。

このように、ネガティブな感想や論評のクチコミが削除できず放置されていることについて、国による規制はできないのだろうか。実は、この点も非常に難しい問題が横たわっている。

人権侵害をするようなクチコミを放置することは許されないというのは、国も対策の必要性を認識しているところだ。総務省は2018年10月18日から「プラットフォームサービスに関する研究会」という有識者会議を継続的に開催し、プラットフォーム事業者に対してどういった規制をかけていくべきか、かけるとしてその方法はどういったものが適当か、ということを含め議論している。

もっとも、前述の通り、表現の自由のような精神的自由は、営業の自由のような経済的自由より優越的地位にあるとされていて、特に憲法21条2項は、検閲を禁止している。Googleなどのプラットフォーム事業者も、国との関係でいえば表現の自由を享受する主体であるし、またプラットフォーム事業者がクチコミ等を含む表示をどのように扱うかも、表現の自由の範疇に含まれ、厚く保護されることになる。

国がプラットフォーム事業者に対して、クチコミ等の内容を法律で規制しようとすれば、表現の自由の保障に対する侵害や、検閲の禁止に抵触しかねないという問題が出てくる。そのため、国がクチコミを直接的に法律によって規制することや、プラットフォーム事業者に対して削除を義務づけることは極めて難しい。

もっとも、法律による義務づけはできないとしても、国もGoogleなどのプラットフォーム事業者が日本国内において活動する以上、一定の規律はあるべきだと考えている。具体的には、投稿された書き込みなどのコンテンツ投稿を、事業者で監視するモニタリング業務(これは「コンテンツモデレーション」といわれる)の在り方について、ルール作りが検討されている。

位置情報と店舗の情報がセットで表示されるGoogleマップは、私たちの生活の中に自然と浸透しており、民的サービスとして利用されている以上、サービスを提供しているGoogle側も、何らかの対策が必要ではなかろうか。

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