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「肉も野菜も安い!」ドラッグストア絶好調の理由 物価高で高まる存在感、買収で生鮮食品も導入

東洋経済オンライン / 2024年5月9日 7時0分

クスリのアオキは、この課題を買収で解決しようとしている。2021年5月期以降、地場スーパーを軸に12回のM&Aを実行。買収先の生鮮食品のノウハウを社内で共有し、各店舗で鮮度管理のレベルを向上させた。

さらに地元の市場に精通した人材も確保するなど、高品質な生鮮食品の流通網も整えた。精力的に既存店の改装を進め、2023年11月時点で総店舗数の85%で精肉と青果が販売されている。

クスリのアオキが買収をしてまで生鮮食品を強化する背景には、業界の競争激化がある。主戦場の郊外で人口減少が進み、1店舗あたりの商圏人口は縮小傾向。その中でも出店は続き、店舗の採算性低下に悩まされている。

クスリのアオキも、以前はコスモス薬品など競合に客を奪われ、厳しい状況に追い込まれていた。打開策として選んだのが集客力の高い生鮮食品の導入だったわけだ。

その戦略が奏功し、2024年5月期第3四半期(2023年6月~2024年2月)の売上高は前期比15.8%増の3267億円と好調だった。

営業利益も一時的な株式報酬費用(64億円)を除くと、実質的には同56.2%増の198億円と高い伸びだった。生鮮食品の取り扱いによる粗利率の低下が懸念されたが、収益性も守られた。

「3年前の業績悪化から立て直すため、思い切って生鮮食品を導入した。競争力は戻りつつあり、この方向で間違っていなかった」。好調な決算を受けて、青木宏憲社長も自信を見せた。

生鮮食品での差別化には課題も

北陸では福井地盤のGenky DrugStores(ゲンキー)も生鮮食品を強化中だ。業界では珍しく、精肉や総菜を加工する自前のセンターを持つ。低価格な食品のプライベートブランド(独自規格)商品が充実しており、サンドイッチやすしも販売している。中堅ドラッグストアの生き残り策が問われる中、着実に独自の店舗づくりを進めている。

ほかにも、神奈川地盤のクリエイトSDHDや岩手地盤の薬王堂HDなど、食品軸の「毎日安売り」を掲げるドラッグストアが軒並み業績を伸ばしている。

物価高の中でドラッグストアの存在感は一層高まっている。生鮮食品を扱うための人件費や廃棄などのコスト増を吸収しながら、成長を続けられるかが今後のポイントになりそうだ。

伊藤 退助:東洋経済 記者

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