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介護費を兄が工面、脳出血になった独居弟の苦悩 「体は資本」老後まで使い続けるなら過信は禁物

東洋経済オンライン / 2024年5月12日 7時20分

脳出血を患い、介護が必要になった男性。長年、健診に行かずにすごしていました(写真:mapo/PIXTA)

まさか自分がこんなことになるとは――。自身の健康を過信し、長年、健診に行かず不摂生を続けていた男性は、50歳の若さで脳出血を患い、仕事を続けられなくなってしまった。

これまで1000人を超える患者を在宅で看取り、「最期は家で迎えたい」という患者の希望を在宅医として叶えてきた中村明澄医師(向日葵クリニック院長)が、若い人たちにも知ってもらいたい“在宅ケアのいま”を伝える本シリーズ。

今回のテーマは、現役世代の生活習慣病。50歳で脳出血を患い、半身まひになり、収入が途絶えてしまった男性の例を基に、現役世代が知っておきたい生活習慣病のリスクや定期的な健診の意味を考える。

脳出血を起こし高血圧だと知る

20代からイラストレーターとして仕事を始め、日々忙しく働いてきたAさん(61)。若い頃からヘビースモーカーで多量の飲酒習慣もあり、夜更かしが当たり前の生活。仕事柄、机に向かう作業が多く、慢性的な運動不足でもありました。

【表で見る】血糖値高めでも治療を受けていない人の割合と、透析や失明にいたる人の割合

そうした不摂生が続いていながら、本人は自身の健康状態について特に気にすることもなく、長年、健診にも行かなかったそうです。

そんな生活が30年近く続いた50歳のとき、脳出血を起こしました。Aさんはそのとき初めて、自分が高血圧だったことを知ったといいます。

Aさんは脳出血の影響で半身まひとなり、生業としていたイラストを描けなくなりました。これまで仕事中心の生活を送ってきて、誇りを持って仕事を続けてきたAさんにとって、イラストが描けなくなってしまうのは、まさに“筆舌に尽くしがたい”喪失感があったようです。

ただ、手足に不自由はあるものの、頭はクリアで、まひのない手を動かすことはできます。

本気でやろうと思えば、何か収入を得られる仕事もあったのではと思いますが、Aさんはイラストを描く仕事へのこだわりが強いあまり、仕事を探すことはせず、50歳から貯金を取り崩しながら生活するようになりました。

介護のための費用に月5~6万円

年金などが受給できない若い現役世代で収入が途絶えれば、当然ながら、生活が厳しくなります。

「要介護4」と認定されたAさんの場合、介護保険サービスの利用分と、全額自費の介護サービスと合わせ、毎月5万〜6万円前後の費用がかかっていました。

Aさんは独身で一人暮らし。室内は車いすで移動し、ベッドから車いすへの移動や、車いすからトイレへの移動も自力でできます。しかし、買い物や入浴には介助が必要です。

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