金融庁の処分控えるみずほFG くすぶる銀行頭取人事の行方
財界オンライン / 2021年7月7日 11時30分
「新型コロナウイルスの感染拡大で日本全体が困難に直面する中でシステム障害を起こし、お客様や株主の皆様を始め、広く社会の皆様に大変なご迷惑をおかけ致しましたことを心より深くお詫び申し上げます」──みずほフィナンシャルグループ社長の坂井辰史氏は株主総会でこう陳謝した。総会では環境関連の質問が多く、取締役の選任案は賛成多数で可決された。
システム障害に関しては、6月15日に坂井氏が6カ月、みずほ銀行頭取の藤原弘治氏が4カ月、報酬50%減とするなどの社内処分を発表。社内的な処分はこれで終了しているというのがみずほFGの対外的な説明だが、7月5日現在、まだ金融庁の行政処分が出ていない。
システム障害に絡んでは、システム担当の石井哲氏が取締役を退任している。また、当初は藤原氏が銀行頭取を辞任するという情報が流れていたが実現しなかった。これは金融庁、特に監督局がみずほFGに人事の再考を迫ったと言われている。金融庁としては持ち株会社の監督責任の方が、現場であるみずほ銀よりも重いと見たからだ。
これで人事は難しくなった。行政処分に対応して追加の処分を出すにしても、藤原氏が責任を取って辞任する線は取りづらい。当初発表されていた会長への就任は、システム障害が起きていながら昇格させるという選択をするかどうか。さらに頭取続投が長期化すると、当初頭取に内定し、現在副頭取を務める加藤勝彦氏の処遇が難しくなる。
銀行は許認可事業だが、経営を担うのは株主総会で承認を受けたみずほFG経営陣であり金融庁ではない。行政が民間企業の人事に〝介入〟するような状況を続けていては金融機関としてグローバルで勝負することは難しい。行政処分が出た後のみずほFGの対応が注目される。
【関連記事】システム障害再発のみずほ銀 変わらぬ企業風土に課題
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