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焦点:ロシア、国連の北朝鮮パネル延長に拒否権 両国緊密化

ロイター / 2024年4月1日 17時10分

 3月29日、 ロシアが国連安全保障理事会で、北朝鮮への制裁状況を監視する「専門家パネル」の任期延長に拒否権を発動したことは、制裁実施を巡る「暗い将来」を指し示している。写真は2023年9月、ロシア極東のボストーチヌイ宇宙基地に掲げられた両国の旗(2024年 ロイター/Sputnik/Artem Geodakyan)

Josh Smith

[ソウル 29日 ロイター] - ロシアが国連安全保障理事会で、北朝鮮への制裁状況を監視する「専門家パネル」の任期延長に拒否権を発動したことは、制裁実施を巡る「暗い将来」を指し示している。パネルの元メンバー3人が、ロイターに語った。

専門家パネルは15年間にわたり、核兵器と弾道ミサイル計画を巡る国連の対北朝鮮制裁状況を監視してきた。ロシアは28日、パネルの任期を1年間延長する決議案に反対票を投じ、延長は否決された。

北朝鮮の唯一の軍事同盟国にして最大の貿易相手国である中国は棄権した。中国とロシアは制裁破りを否定しているが、緊張を悪化させているのは西側諸国とその同盟国だと非難し、北朝鮮に対する既存の制裁の一部解除を主張している。

外交官らによると、パネルは4月30日に任期切れを迎えるが、延長のための再投票が行われる可能性は低そうだ。

米韓当局者や独立系アナリストの話では、拒否権発動は北朝鮮にとって貴重な「外交的配当」となった。また、ウクライナ戦争で使用する弾道ミサイルや弾薬の輸送、北朝鮮に燃料供給が行われている可能性など、ロシアと北朝鮮の関係緊密化を印象付けた。

ロシアと北朝鮮はともに武器取引を否定しているが、軍事関係の深化を約束。ロシア対外情報局(SVR)のナルイシキン長官は3月最終週に北朝鮮を訪問し「圧力を強めようとする外部勢力からの試み」に対する統一戦線を誓った。

専門家パネルの元メンバーで、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の制裁専門家であるアーロン・アーノルド氏は今回の採決について、北朝鮮に対する国際的な制裁体制の大きな転換点になったと述べた。

「ロシアの(反対)票は、北朝鮮からの通常兵器購入という露骨な制裁違反、履行義務を無視してきた長年の歴史、そして中国からの暗黙の支持と併せて考えると、北朝鮮の制裁を巡る枠組みにとって未来が厳しいことを示唆している」という。

<パズルのピース>

ロシアのネベンジャ国連大使は、専門家パネルの仕事を批判。投票に先立ち、パネルの報告書について「西側のアプローチに乗っかり、偏った情報を転載し、新聞の見出しや質の悪い写真を分析する」ものに成り下がったと述べた。

パネルの作業が制約を受けるようになっていることはパネルの支持者らでさえ認めているが、その原因は中国とロシアのメンバーが自らにとって好ましくない調査結果を妨害したり、難読化したりしているせいだと非難している。

ある元パネルメンバーは「最新の報告書は実に興味深い。金融や海外への出稼ぎ労働者については有益な詳細も掲載されているが、中国についてはほとんど触れられていない。制裁違反について話しながら中国に触れないとすれば、それは実際に起こっていることの正確な反映とは言えない」と語った。

この元メンバーは、パネルの報告書は包括的な要約といった体裁だが、実は大きなパズルのほんの一部のようなもので、多くの場合、最も重要なピースのいくつかが抜け落ちていると話した。

梨花女子大学(ソウル)のリーフエリック・イーズリー教授は、専門家パネルが廃止されれば、日米韓の協力がより強化される可能性があるとみている。

また、大ニュースにつながる報告を抑制していたロシアと中国の影響が取り払われるため、制裁違反の証拠がより多く公開される可能性があると述べた。

パネルの元代表で制裁コンサルタントのヒュー・グリフィス氏によると、世界の銀行や保険会社は、海外にある北朝鮮の制裁逃れネットワークに関連する口座を凍結、閉鎖する上で独立系の報告書に頼るようになっているため、今後も継続的な報告の仕組みが得られる見通しだ。

<深まるロシアと北朝鮮の関係>

グリフィス氏は拒否権発動について、ロシアが北朝鮮から弾道ミサイルと通常砲弾を違法に調達していることを、国連安保理で報告されたくないことの表れだと指摘。「ロシアの拒否権は、プーチン大統領が弾道ミサイルと禁輸措置破りで北朝鮮との協力を強化することを示している」と語った。

ワシントンを拠点とする北朝鮮研究グループ「38ノース」のジェニー・タウン氏も、拒否権発動によってロシアと北朝鮮の結びつきの強化が示されたと言う。

「現在の地政学的環境では、国連安保理レベルでの新たな制裁は一切期待すべきではないこと、そして制裁監視の処理を巡り各国に大きな負担がかかっていることを思い知らされた」と語った。

米国と韓国は3月最終週、北朝鮮による石油の不正調達、特にロシアからの不正調達を防ぐことを目的とした新しいタスクフォースを立ち上げた。

両国はまた、ロシア、中国、アラブ首長国連邦(UAE)に拠点を置く個人と団体に対し、北朝鮮の兵器プログラムに資金を流しているとして一方的な制裁を課した。

韓国の統一省は、安保理の採決について「極めて遺憾だ」と表明した。

目に見える制裁措置の大半はこれまでも、時に中国およびロシアと衝突しながら米国とその同盟国によって実施されてきた。

カナダは、対北朝鮮制裁を実施するための国連活動に参加している自国の偵察機に対して、中国のジェット機が「無謀な」嫌がらせをしていると非難した。中国はカナダ機の飛行が「挑発的」だったとしている。

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