英中銀当局者、AI搭載の運用戦略を警戒 「不安定化あおる」
ロイター / 2024年5月8日 1時23分
イングランド銀行(英中央銀行、写真)の金融行政委員会(FPC)外部委員に指名されているジョナサン・ホール氏は7日、金融機関は市場の不安定化をあおって利益を得ようとする人工知能(AI)が開発したトレーディング戦略の利用を避けなければならないと述べた。2022年8月撮影(2024年 ロイター/Maja Smiejkowska)
[ロンドン 7日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)の金融行政委員会(FPC)外部委員に指名されているジョナサン・ホール氏は7日、金融機関は市場の不安定化をあおって利益を得ようとする人工知能(AI)が開発したトレーディング戦略の利用を避けなければならないと述べた。
英エクセター大学の講演で「ニューラルネットワークは、外部ショックを積極的に増幅することの価値を学習することができる。FPCが依然から目の敵にしている増幅という力がこういった新たな形で出現する可能性がある」と指摘。AIが搭載された半自律的な運用戦略である「ディープ・トレーディング・エージェント」を投資会社が開発することはあり得るとした。
現在行われている学術研究では、AI搭載型の運用戦略が違法ではあるものの人間では見抜くことが難しい方法で互いに共謀したり、市場の不安定化をあおろうとしたりするリスクがあることが示されている。また、このような戦略は混乱への備えが不十分な可能性もある。
ホール氏は、金融トレーダーはAIモデルを活用する前にそれらを徹底的に検査し、規制の精神と文言の両方を順守させる必要があると言及。「アルゴリズム取引が準拠せずに有害な動作を行った場合、トレーディングマネジャーが責任を負うことになる」とした。
こうした懸念は英中銀全体の見解ではなく個人的な見解であり、現時点では主に仮説的なものとした上で、1990年代に流行したトレーディング戦略との類似点があり、当時はこのような戦略が1998年のヘッジファンド「ロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)」の破綻につながったと強調。「これらを総合すると、トレーディング会社にはパフォーマンスと規制上のリスクが生じ、トレーディングへのニューラルネットワークの活用に対する現在の慎重な姿勢を説明することができる」とした。
この記事に関連するニュース
-
金融デジタル化、新たなリスクの源に バーゼル委員会が報告書
ロイター / 2024年5月16日 20時56分
-
当局調査の金融機関名、調査終了前の公表を英中銀総裁が支持
ロイター / 2024年5月10日 18時3分
-
英中銀が金利据え置き、総裁「正しい方向」 6月利下げ否定せず
ロイター / 2024年5月9日 23時59分
-
世界初、AIモデルの再学習コストを大幅に削減可能な過去の学習過程を再利用する「学習転移」を実現 ~NTT版LLM「tsuzumi」など基盤モデルの更新・差し替えを容易に~
Digital PR Platform / 2024年5月7日 15時13分
-
JST研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)実装支援(返済型)に採択され、上限額1.2億円をデット調達しました。
PR TIMES / 2024年4月26日 23時45分
ランキング
-
1飲むヨーグルトが「乳酸菌バブル」でジリ貧の理由 市場は逆転寸前、かつての人気を取り戻せるか
東洋経済オンライン / 2024年5月19日 7時20分
-
2東京から新幹線…「新神戸」よりも、一駅先の「西明石」まで買った方がおトク!? JR往復割引「601キロ」のカラクリ
まいどなニュース / 2024年5月19日 8時2分
-
3ローソン、コーヒーなどの「濃さ」選べる仕様に 背景に“客離れ”回避
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月19日 8時0分
-
4ラーメン屋経営で地獄見たプロレスラーの気づき 川田利明が向き合う「お客様は神様です」の怖さ
東洋経済オンライン / 2024年5月19日 12時30分
-
5広がるタッチ決済乗車は訪日外国人観光客対応か 話題の「二重価格」が鉄道・バスに導入される可能性
NEWSポストセブン / 2024年5月19日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください