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円安、物価上昇通じて賃金に波及するリスクに警戒感=植田日銀総裁

ロイター / 2024年4月26日 18時5分

 4月26日、植田総裁(写真)は今回「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で示した見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していけば金融緩和度合いを調整していくことになるが、「当面、金融環境が継続すると考えている」と語った。 写真は昨年4月都内で撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)

Takahiko Wada Kentaro Sugiyama

[東京 26日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は26日、金融政策決定会合後の記者会見で、円安により仮に基調的な物価上昇率に無視できない影響が発生する場合は金融政策上の判断材料となると述べた。円安が物価上昇を通じて賃金上昇率に波及する展開に警戒感を示し、来年の春闘での賃上げ率に波及しそうになれば、春闘より前の段階で利上げを判断することもできると述べた。

<円安、基調的な物価上昇率への影響を注視>

記者会見では円安の物価への影響や政策対応に質問が集中した。植田総裁は、足元の円安が今年度の物価見通しを上方修正した要因に含まれると説明する一方、今のところ基調的物価上昇率に大きな影響を与えているものではない、との認識を示した。

その上で、円安が基調的な物価上昇率に影響するかが利上げを検討する上で重要になると強調した。通常であれば円安のインフレ率への影響は一時的にとどまるが、円安が期待インフレ率の上昇を通じて24年のインフレ率に影響し「25年の春闘の賃金上昇率に跳ねるということになれば、影響が長期化する」と指摘。「そういう動きが予想できるような状況になれば、その手前で(利上げが)判断できる」と語った。

半面で、円安が続けば輸入物価が上昇し「程度によっては、実質所得に対する下押し圧力を通じて消費に悪影響が及ぶ可能性もゼロではない」と指摘。現時点では、名目賃金が伸び率を高める一方で輸入物価上昇の影響が減衰していくことが実質所得の改善につながり、消費は強いと期待しているが、そうしたシナリオが本当に実現していくか「政策運営上、重大なチェックポイントだ」と述べた。

日銀は25─26日の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コールレート翌日物の誘導目標を0―0.1%で据え置くことを決定。長期国債についても、3月の決定会合で決定された方針に従って実施するとした。

植田総裁は「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で示した見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していけば金融緩和度合いを調整していくことになるが、現在はまだ2%を下回っており、「当面、金融環境が継続すると考えている」と語った。

<国債買い入れ、6兆円継続に「反対出ず」>

日銀が国債購入額の減額や保有残高の縮小方針を示すのではないかとの思惑が一部で浮上する中で政策据え置きが伝わり、外為市場では円安が進行。155円半ばで推移していたドルは156円台に上昇した。

植田総裁は同日の会合で国債買い入れを6兆円で続けるということに特に反対は出なかったと説明。国債買い入れの減額について「具体的にいつの時点と言える段階にない」とした。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、ドル高/円安に政府が苦慮する中、植田総裁から円安けん制色を帯びたコメントは聞かれなかったと指摘。「政府と協調しての円安けん制という観点から言えば、今回の日銀の対応は非常に冷淡なものになった印象だ」と述べた。日銀の決定内容公表後にドル/円が156円台に乗せたのは自然な反応であり「為替介入の有無が引き続き注目される」とした。

ドル/円は総裁会見後、156円後半から154円後半まで約2円急落。その後、急速に値を戻すなど振幅の大きな展開になっている。

(和田崇彦、杉山健太郎)

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