米国株式市場=下落、テーパリング加速や変異株巡る懸念で
ロイター / 2021年12月1日 7時22分
[30日 ロイター] - 米国株式市場は、主要株価3指数が軒並み下落して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が次回の政策会合で大規模な債券買い入れプログラムの縮小加速を検討する可能性を示唆し、新型コロナウイルスの新たな変異株を巡り神経質になっている市場が、さらに圧迫された。
パウエル議長は上院銀行委員会での証言で、インフレの高まりが「一過性」という表現について、現在の高水準にあるインフレ率を説明する上でもはや正確でないとし、2週間後に開かれる次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で債券買い入れプログラムの縮小加速を検討すべきと述べた。
ウェドブッシュ・セキュリティーズの株式トレーディング部門マネジングディレクター、マイケル・ジェームズ氏は「パウエル議長の発言はテーパリング(量的緩和の縮小)のタイミングを巡る市場の見方に混乱を生じさせ、リスクオフムードが広がった」と述べ、新たな変異株のオミクロン株を巡る懸念もあると指摘した。
パウエル議長の発言を受け、一部の投資家の間では利上げが前倒しされるとの観測も高まった。
ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ投資ストラテジスト、マーク・ルスキーニ氏は「きょうの株価下落の主因は、テーパリング加速に関するパウエル議長の発言だ。テーパリングの加速は当然、来年に利上げが前倒しされるという見方につながる」と語った。
この日は幅広い銘柄に売りが出て、S&P主要11セクターは全て下落。うち7セクターで下落率が2%を超えた。通信サービスが3%安と下げを主導した。公益事業は2.9%安。原油価格の下落を背景にエネルギーも2.5%安と下げがきつかった。
情報技術は0.96%安と下落率が最も小幅にとどまった。アップルが3.2%上昇し最高値を更新。同セクターを支援した。
S&P総合500種採用企業でこの日上昇したのは、わずか7社だった。
月間ではS&Pは0.8%安、ダウ工業株30種は3.7%安、ナスダック総合は0.25%高。
ビオンテックは、同社とファイザーが共同開発した新型コロナワクチンについて、オミクロン株に対して重症化を防ぐ効果が高いとみられるとしている。
一方、モデルナのバンセル最高経営責任者(CEO)はフィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、オミクロン株へのワクチンの効果はデルタ株と比べて低下する恐れがあると指摘した。
これを受けてモデルナの株価は4.4%下落。リジェネロン・ファーマシューティカルズも2.7%値下がりした。同社も、自社開発の新型コロナ抗体カクテル療法や同種の療法について、オミクロン株に対する効果が低下する可能性があると明らかにした。
旅行・娯楽関連株も売られ、S&P1500ホテル・レストラン・レジャー指数は2%超、航空指数は0.6%、それぞれ下落した。
小型株で構成されるラッセル2000指数は1.9%安。
ニューヨーク証券取引所では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を3.82対1の比率で上回った。ナスダックでも2.40対1で値下がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は161億3000万株と6月以来の高水準を記録した。直近20営業日の平均は111億2000万株。
終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード
ダウ工業株30種 34483.72 -652.22 -1.86 35056.99 35056.99 34424.44
前営業日終値 35135.94
ナスダック総合 15537.69 -245.14 -1.55 15716.50 15828.20 15451.39
前営業日終値 15782.83
S&P総合500種 4567.00 -88.27 -1.90 4640.25 4646.02 4560.00
前営業日終値 4655.27
ダウ輸送株20種 15843.15 -518.86 -3.17
ダウ公共株15種 893.56 -27.01 -2.93
フィラデルフィア半導体 3833.22 -77.32 -1.98
VIX指数 27.19 +4.23 +18.42
S&P一般消費財 1615.83 -23.26 -1.42
S&P素材 530.68 -13.51 -2.48
S&P工業 850.54 -22.27 -2.55
S&P主要消費財 731.76 -20.57 -2.73
S&P金融 630.37 -15.57 -2.41
S&P不動産 295.94 -6.40 -2.12
S&Pエネルギー 410.70 -10.52 -2.50
S&Pヘルスケア 1510.45 -29.70 -1.93
S&P通信サービス 260.90 -8.06 -3.00
S&P情報技術 2956.85 -28.56 -0.96
S&P公益事業 332.59 -10.01 -2.92
NYSE出来高 21.78億株
シカゴ日経先物12月限 ドル建て 27675 + 205 大阪比
シカゴ日経先物12月限 円建て 27675 + 205 大阪比
この記事に関連するニュース
-
米国株式市場=S&P4日続落、米金融政策巡る不透明感や軟調な企業決算で
ロイター / 2024年4月18日 6時32分
-
米国株式市場=S&P・ナスダック続落、金利の道筋見極め
ロイター / 2024年4月17日 6時31分
-
米国株式市場=1%超下落、FRB当局者が利下げ慎重姿勢表明
ロイター / 2024年4月5日 6時46分
-
米国株式市場=S&Pとナスダック小幅高、非製造業指標の軟化で
ロイター / 2024年4月4日 6時50分
-
米国株式市場=ダウ・S&Pが下落、製造業統計受け利下げ時期巡り懸念
ロイター / 2024年4月2日 6時32分
ランキング
-
1【解説】円安どこまで進む? 深刻…家計にも影響、為替介入の可能性は
日テレNEWS NNN / 2024年4月25日 20時5分
-
2アキレス、シューズの国内生産終了へ コスト増や少子化など背景
ロイター / 2024年4月25日 16時27分
-
3サイゼリヤ、ギリギリ「国内黒字化」も残る難題 国内事業の利益率0.05%、値上げなしで大丈夫か
東洋経済オンライン / 2024年4月24日 7時30分
-
4イトーヨーカドー、祖業のアパレル復活なるか アダストリアとの新ブランドが生んだ“相乗効果”
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月25日 10時0分
-
5グリコ「17種類出荷停止」巨大プロジェクトで誤算 40年ぶり社長交代で"データ志向"を目指したが
東洋経済オンライン / 2024年4月25日 16時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください