クルマ同様「慣らし運転」って必要?憧れのバイクを購入した際の注意ポイントとは
バイクのニュース / 2024年5月8日 9時10分
一定の走行距離になるまで、エンジンに強い負荷をかけないようにやさしく運転することを「慣らし運転」といいます。言うなればバイクの準備運動のようなものですが、新車でバイクを購入したら慣らし運転は必要なのでしょうか。
■バイクを買ったら「慣らし運転」は必要?
春は新しいことを始めるのにぴったりな季節。進学シーズンということもあって、はじめて免許を取得して、バイクを購入するという人も多いと思います。
新車のバイクを購入したら、まず「慣らし運転」をすればよいとの意見を聞いたことがある人も居るでしょう。
慣らし運転はバイクに限らずクルマでもよく使われる言葉で、一定の走行距離になるまで、エンジンに強い負荷をかけないようにやさしく運転することをいいます。
言うなればバイクの準備運動のようなものですが、必要という意見もあれば不要という意見を耳にすることも。実際のところ、バイクを購入したら慣らし運転は必要なのでしょうか。
バイクの慣らし運転をするとバイクを良い状態に保つことができ、故障しにくくなる
バイクはたくさんの金属パーツでできています。なかでもエンジン内部はもの凄い回転スピードで部品が動いているため、慣らし運転をすることで機械を馴染ませる効果があるといわれています。
つまり、慣らし運転を終えるとエンジンがスムーズに動くようになるため、バイクを良い状態に保つことができ、故障しにくくなる為、結果的に寿命を延ばすことにつながります。
このように、バイクの慣らし運転の必要性は高そうですが、エンジンは精密に造られていてスムーズに動いているにもかかわらず、なぜ慣らし運転が必要なのでしょうか。
エンジン内部のパーツは金属でできているため、「バリ」と呼ばれる小さな突起やわずかなギザギザが存在します。バリがある状態でいきなり強い負荷をかけると、パーツ同士が擦れるときに荒く削れて変形してしまい、エンジンがダメージを負う可能性があるという訳。
いきなりエンジンに負荷をかけるのではなく慣らし運転で徐々に負荷をかけていくことによって、パーツ同士がだんだんと削れてなめらかになり、スムーズに動くようになります。金属パーツの表面をゆっくりと磨いていく光景をイメージすると分かりやすいかもしれません。
なお、新車時はエンジン内部のパーツ同士が擦れ合い、削れて金属の粉がエンジンオイルに混ざります。そのため、初回点検(購入後1ヶ月程度)でおこなう、通常よりも早めのオイル交換がとても重要です。
■タイヤの為にも慣らし運転は有効
エンジンだけでなくタイヤのためにも、慣らし運転をする必要があると言います。新品のタイヤは表面にコーティングが施されているため、車体を大きく傾けたり、急ハンドルをしたりするとスリップしがしやすく危険です。
そこで行うのが「皮むき」。慣らし運転をしてコーティングを落とすことを、タイヤの「皮むき」と言い、これをおこなうことでタイヤ本来のグリップ力が得られるようになっていくので覚えておきましょう。
エンジンだけでなくタイヤのためにも、慣らし運転をする必要がある
また新車のバイクは、実際に公道を走行すると振動や車体の動きによって各部のネジが緩む「初期緩み」という現象がおこることがあります。
ネジの緩みは事故の原因になることがあり非常に危険ですが、慣らし運転によって確認することが可能。新車時の初回点検では初期緩みもチェック項目に入っているため、見つかれば締め直しがおこなえます。
なお、慣らし運転は走行距離1000kmを目安にすることが多いものの、メーカーや車種ごとにやり方が異なります。バイクの説明書には慣らし運転について記載されている場合もあるので、わからない場合は参考にしてください。
新車購入後の初回点検のタイミングは、走行距離1000kmまたは納車後1か月がひとつの目安。この期間は長いと感じるかもしれませんが、バイクをベストなコンディションに仕上げて長持ちさせるための大事な期間。大切な愛車を、時間をかけて育てていくつもりで、焦らずにじっくり慣らしていくことが重要です。
慣らし運転を早く終わらせようとして1000kmを数日で走り切ろうとすると、かえってエンジンを痛めてしまう可能性もあるため、1日の走行距離を100km以内に抑え、数週間から1か月程度をかけて、じっくりと慣らしたほうが効果的です。
ほとんどのメーカーのホームページを見ると、慣らし運転をおこなうことが推奨されている
では、もし慣らし運転をしなかった場合は、バイクは壊れてしまうのでしょうか。
現在は機械の加工精度が格段に向上しており、慣らし運転をしなくても致命的な不具合は起こりません。そのため、最近発売されたバイクの取扱い説明書には慣らし運転についての項目がないケースも多々。
しかし、ほとんどのメーカーのホームページを見ると、慣らし運転をおこなうことが推奨されています。
「慣らし運転をしなければ壊れる」とは明記されていませんが、パフォーマンスを充分に発揮して寿命を延ばすためには、慣らし運転をしたほうが、バイクにとってプラスになると言えそうです。
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