マイナス20度の中を全裸で…北朝鮮「秘密の裏山」に隠された鬼畜行為
デイリーNKジャパン / 2024年4月23日 4時1分
「北朝鮮で拷問または大規模な人権侵害が行われているという証拠はない」
これは、先月15日にスイス・ジュネーブの国連本部で行われた国連人権理事会の付属の会議での中国の外交官の発言だ。さらにこのようにも発言して、自国にいる脱北者の北朝鮮への強制送還を正当化した。
「経済的な理由で違法に入国した北朝鮮出身者は難民ではない」
「したがってノン・ルフールマン原則は適用されない」
ノン・ルフールマン原則とは、送還後に自由や生命が脅かされかねない人々の送還を禁止する難民条約の条項だ。
このような中国外交官の発言を覆す脱北者の証言は文字通り山のようにある。
昨年10月、中国・遼寧省、吉林省の収容所に収監されていた脱北者約200人が北朝鮮に強制送還された。そのほとんどが国境沿いの地域の保衛部(秘密警察)集結所に拘禁されている。深刻な人権侵害と栄養失調で命を落とす人もいると、デイリーNKの複数の内部情報筋が伝えている。
脱北者は平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の穏城(オンソン)の集結所に勾留され、3カ月もの間、脱北の経緯、中国での行動、犯罪の有無などについて取り調べを受けた。
保衛部は、中国公安当局から受け取った資料と、強制送還された脱北者の陳述を照らし合わせながら厳しい取り調べを行った。その過程で暴行、拷問、強制労働、性的虐待などの人権侵害が行われた。
1月には、新義州集結所に勾留されていた女性1人が自ら命を絶った。
平安南道(ピョンアンナムド)安州(アンジュ)出身のこの女性は、安州市安全部(警察署)の身柄引き受けが遅れたため、他の人より長期間集結所に留まることとなった。継続的に起こる虐待に耐えきれず自死を選択したと伝えられている。
また昨年12月には、穏城集結所に勾留されていた女性1人が、豆満江を渡って再び中国に逃げ出そうとして捕まる事件が起きた。女性は戒護員(看守)から激しい暴行を受けたという。
さらに、マイナス20度の極寒の中ですべての衣服を剥ぎ取られ、全裸の状態で集結所の前庭で跪かされ、結局、5時間後に低体温症で亡くなった。集結所は、遺体を裏山で焼却し、家族には亡くなったということだけを通知したとのことだ。
(参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態)
これ以外にも、新義州で3人、穏城で2人が栄養失調で死亡したと伝えられている。強制送還された200人のうち、今まで確認されただけで7人が死亡している。
今月初旬の時点で、集結所に残っているのは10人に満たないという。いずれも居住履歴が明確でなく、安全部から身柄引受を拒否されている人たちだ。それ以外の収容者のほとんどは、元々の居住地の安全部に身柄を移され、予審と裁判を受けて刑務所に収監された。一部は、管理所(政治犯収容所)送りとなった。おそらく韓国行きを企てたり、キリスト教と関わりを持ったりした人だろう。
管理所には、刑期が定められ釈放がありうる革命化区域と、一生釈放が許されない完全統制区域があるが、どちらに送られたかはわからず、前者であっても生きて出てこられる確率は高いとは言えない。
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