【コロナ特需】新型コロナウイルス流行の前後で、マスクの売り上げはどれだけ変化したの?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月15日 11時40分
新型コロナウイルスの流行は、さまざまな産業に影響を及ぼしました。特に、衛生用品の需要が高まり、一部の企業は異例の売り上げを記録したのです。 この記事では、まず、コロナ特需の影響について確認します。さらに、その変化を体現した、あるマスクメーカーの売上高や利益率の変化を時系列で確認します。
コロナ特需とは?
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって2020年に始まった世界的な変化は、多くの業界に大きな影響を与えました。いくつかの業界は「コロナ特需」という現象により、予期せぬ需要の増加を経験したのです。
まず、医療・衛生用品業界はこの特需の恩恵を最大限に受けました。マスク、手指消毒剤、ウイルス防護具などの衛生用品が必需品となり、その需要は供給を大きく上回る時期もありました。さらに、診断キット、ワクチン、治療薬の開発と生産も急ピッチで進みました。
しかし、これらの「コロナ特需」による恩恵を受けた業界も、サプライチェーンの混乱、労働力の不足、そして消費者行動の不確実性といった新たな課題に直面しました。
パンデミック(世界的大流行)は多くの業界に一時的なブームをもたらしましたが、それに伴う経済的・社会的影響は長期にわたってさまざまな形で現れていて、世界の構造を以前とは異なるものに変えたのです。
マツオカコーポレーションの例にみるマスクメーカーの売り上げの変化(2020年から2024年まで)
マスクは、コロナ需要で大きな影響を受けた製品の一つです。その供給元であるマツオカコーポレーションの売上高の変化について、年度を追って見てみましょう。
・2020年度
4月から6月にかけて、同社の売上高は165億円に達し、前年同期比で20%の増加を記録しました。この時期、政府からの布マスクの大量受注が、売り上げの急増に大きく寄与しました。実際に、マスク関連の受注だけで51億円が計上されたと報告されています。経常利益も前年同期の約3倍にあたる17億9500万円に膨らみました。
・2021年度
マスク関連の売り上げが依然として高水準を保ち、営業利益は前期比75.3%増の45億円に達しました。この増益の大部分はマスク販売によるものでしたが、マスクを除くアパレル製品の生産枚数は前年の5800万枚から減少し、5000万枚となりました。
・2022年度
世界的な物流の混乱が同社の業績に大きな打撃を与えました。特に、東南アジア地域の生産拠点でのロックダウンやコンテナ不足が原因で、売上高は前年比5.3%減の510億円に落ち込みました。営業利益は前年比96%減のわずか1億8100万円にまで減少し、経常利益も74.5%減の10億3700万円となりました。
・2023年度
純利益は前年比46.3%減の3億円でした。売上高は前年比9.7%増の560億円に回復しましたが、営業利益は3.9倍の7億円、経常利益は15.7%増の12億円と、依然として厳しい状況が続きました。
・2024年度
業績が大きく改善しました。第3四半期までの経常利益は前年同期比34.8%増の32億円に拡大し、通期の経常利益予想も18.2%増の39億円に上方修正されました。この回復は、会社の適応能力と市場状況の改善によるものと考えられます。
マスクメーカーはコロナ特需による売上高の乱高下を経験
今回取り上げたマスクメーカーは、コロナ特需により一時的に売り上げが増加しましたが、その後はさまざまな困難に直面したようです。需要の変動、生産拠点のロックダウン、物流の問題などで売り上げや利益が縮小したのです。
しかし、2023年の新型コロナの5類感染症移行後は、これらの困難を乗り越え、状況が好転しているようです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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