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巨大企業JALの株価がたった1円の衝撃… コロナで曇る再起の空模様

Finasee / 2023年1月19日 12時0分

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Finasee(フィナシー)

・大手スーパーが“戦後最悪”の倒産…負債1.6兆円、一般人も大損の被害

「日本航空(JAL)」といえば日本の空を支える大企業ですが、実は破綻の歴史があります。 破綻時の負債総額2兆3000億円は事業会社として平成最悪。今でこそ株式の時価総額は1兆円に迫っていますが、破綻が確実視された当時は株価が1円になるまで売り込まれました。

今日は日本航空の破綻と復活の歴史に触れましょう。

2010年に破綻。最後の株価は1円

2010年1月19日、日本航空は会社更生法を申請し、事実上の経営破綻を経験します。当時のリリースによると、米国同時多発テロなどが原因で国際便の需要が減少し脆弱な財務が続いていたところ、リーマンショックによるビジネス需要・国際貨物需要の急減で大幅な減収となったことが決め手となったようです。

出所:日本航空 株式会社企業再生支援機構に対する再生支援申込み及び支援決定、並びに会社更生手続き開始申立て及び開始決定に関するお知らせ

破綻時の負債総額は2兆3221億円。帝国データバンクによると、平成30年間(1989~2019年)の大型破綻ランキングでは4番目、負債が大きくなりやすい金融機関を除けば最悪の負債総額となりました。

【平成の大型倒産 負債額ランキング(1989~2019年)】
1.協栄生命保険:4兆5297億円
2.リーマン・ブラザーズ証券:3兆4314億円
3.千代田生命保険:2兆9366億円
4.日本航空グループ:2兆3221億円(※)
※「日本航空」「日本航空インターナショナル」「ジャルキャピタル」の合計

出所:帝国データバンク 平成の大型倒産・上位 30 社

会社更生法適用のリリース前から事前報道で日本航空の株価は大きく下落し、100%減資(※)が報じられた直後の1月13日には7円と1桁台にまで急落していました。

※100%減資=既存株主が持つ株式の価値をゼロにする処置

そして2月19日、日本航空株は株価1円で最後の取引を終え上場廃止となります。

約2年半でJALを再上場させた京セラ創業者「稲盛氏」

「日本航空って上場しているのでは?」と思った方、その通りです。上場しているどころか、日本航空は時価総額9500億円超の大型株で、同業の「ANAホールディングス」(同1兆1600億円)に迫っています。

【日本の空運株の時価総額】
・日本航空:9590.9億円
・ANAホールディングス:1兆1601.3億円
・スターフライヤー:77.5億円

※2022年1月11日終値時点

現在の日本航空株式は2012年9月19日に上場しました。経営破綻から2年8カ月のスピード再上場を果たせたのは、破綻の翌月に日本航空の会長に就任した稲盛和夫氏の功績が大きいといわれています。

稲盛氏は日本を代表する経営者です。1959年に27歳の若さで「京都セラミック(現京セラ)」を設立し、1984年には「第二電電企画(現KDDI)」を設立しました。どちらも大きな上場企業で、両社の時価総額の合計は約11兆円にも上ります。

【京セラ・KDDIの時価総額】
・京セラ:2兆7154.6億円
・KDDI:8兆2789.2億円

※2022年1月11日終値時点

稲盛氏は日本航空の破綻時、当時の鳩山由紀夫首相に要請され日本航空の最高経営責任者に就任しました。稲盛氏は京セラで培った独自の経営哲学と経営管理手法を持ち込み、日本航空の業績はV字回復を果たします。破綻前の最後の決算(2010年3月期第2四半期)では1300億円を超える最終赤字を計上していましたが、再上場直前の2012年3月期には1860億円を超える純利益を稼ぎ出しました。

稲盛氏の手腕なくしてこれほどの急回復はなかったでしょう。

コロナ禍のJALの業績

日本航空は新型コロナウイルスという新たな脅威にさらされています。2020年1月5日にWHO(世界保健機関)が中国湖北省武官における原因不明の肺炎の発生を発表して以降、私たちの行動は大きく制限されるようになりました。

ビジネス・観光の両面で航空需要が急減し、日本航空の業績は急激に悪化します。2021年3月期の売上高はコロナの影響がない2019年3月期の3分の1以下にまで低下し、最終赤字は2800億円を超えました。日本航空は借り入れなどで資金調達を行っていますが、苦しい状況が続いています。

【日本航空 業績の推移】

※2021年3月期は国際会計基準(IFRS)、他2期は日本基準

日本航空が2021年5月に発表した中期経営計画では2023年度にコロナ前の利益水準を回復する目標が示されました。日本の翼は再び復活できるのか、要チェックです。

出所:日本航空 2021-2025 年度 JAL グループ中期経営計画

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。
AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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