ぴいぷる 歌手・天童よしみ「歌えるという喜び」 〝昭和が舞い降りて花咲く春来る〟時代や性別などは関係なく歌で寄り添う「天童節」
zakzak by夕刊フジ / 2024年5月9日 6時30分
デビュー52年目の今年は新曲「昭和かたぎ」(テイチク)を2月にリリースした。昭和かたぎの男をいちずに愛し、一緒に苦難を乗り越えてきた、心優しく芯の強い女を描いた王道演歌だ。
「久しぶりの演歌です。昭和の時代の古さとかではなく、呼び名は変わっても、いろんな時代を生きてきた人の気質が、この歌に表れていると思います」
2月で91歳になった母親に新曲を聴いてもらったところ、「まるで私とお父さんがモデルみたいな歌。よしみもやっと、人に温かく、人に優しく向けられる歌が生まれてよかったわね」と言われてうれしかったという。
新曲の歌詞に「忍んで絶えた冬いくつ」とあるが、コロナ禍の数年間もまさにそうだった。
絶えず声を出していないと声帯が締まり、声が出にくくなってしまうのに、コロナ禍では「なるべく歌わない」という期間が長くあった。それでもできるだけテレビに出て、ラジオやユーチューブ配信などでファンと絶えずつながってきて、声も保ち続けた。
「ライブも10人限定とか、コンサートは広い会場でもソーシャルディスタンスをすごく取りながらやってきました。でもこの4年間、きつかったです。なかなか超満員ではコンサートができませんでしたから」
コロナ禍では映画撮影にも参加し、昨年3本封切られた。銀幕デビューとなった「湯道」では、歌手のクリス・ハートと親子役で共演。銭湯の男湯と女湯に分かれて「上を向いて歩こう」をデュエットし、その見事なハーモニーは、物語と相まって観客の涙を誘った。
「歌は昔から3分間のドラマってよく言われますけど、そこの中で作り上げていく自分の役があるんです。自分も入っていたり、人のために歌ったり、『今日はあなたのために歌います』というときもあります。映画や舞台をやるうちに、やっぱりお芝居は歌とまったく同じだと。そういうセリフの中にも心を込めないと、絶対に伝わらないと勉強になりました」
そして「日劇前で逢いましょう」ではミュージカルにも初挑戦。「有楽町で逢いましょう」がテーマ曲になっている、古き良き時代の昭和歌謡ショーだった。
「お客さんが若い人ばかりなのに、昭和の歌がふんだんに使われていて、2024年は昭和が絶対に来るなって思っていたんです」
そして、まさにどんぴしゃりのタイミングで「昭和かたぎ」が舞い降りた。
「少しポップス寄りやフォーク寄りなど、いろいろやってみたんです。でもやっぱり純粋な演歌を歌っていかなければと思っていました」
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