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なぜ、名カウンセラーより親の「傾聴・共感」が大事なのか?【「不登校」「ひきこもり」を考える】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月7日 9時26分

 中高年になっても買い物依存などで親の脛をかじり続けているひきこもりの方の中には、「子ども時代に本当の意味では何ひとつ心から甘えさせてもらえなかった復讐をしている気がする。だからいくら今ブランドものを買ってもらっても、自分でもおかしいと思うが、まだ足りないとしか思えない。でも買ったもので本気で欲しかったものなど何ひとつない」と、満たされない渇望感を実際にお話してくださる方もおられるほどです。

 誤解していただきたくないのは、私は親がすべて悪いなどと言うつもりはないということです。世の中にはひどい親の事例がゼロとは言いませんが、一律にそう決めつけるのは大きな誤りだと思っています。どこに、かわいいわが子をひきこもりや病気にしようと思って育てる親などいるでしょうか。どんな親もわが子には立派な人間になってほしいと願って一生懸命に育てたはずだと私は信じたいと思っています。

 決して世間的にはずれた子育てなどしていない、それどころか手塩にかけて愛情を注ぎ育てていたはずなのに……不登校やひきこもりが生じてしまう。だからこそ問題は深刻なのです。子どもが繊細で素直で“いい子”過ぎたために、親の気分を害さないように忖度ばかりしたり、親の期待に応えようと親の顔色ばかりをうかがったりして、言いたいことを言えずに心の奥深くにため込んでしまう。しかし、それが限界を超えて、いい子でいることに行き詰まり、心のバランスを崩してしまった……。そんなケースが少なくないと私は感じています。(つづく)

▽最上悠(もがみ・ゆう)精神科医、医学博士。うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

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