打撃は異次元のレベルへ昇華、野手専念の今季が「三冠王」の最初で最後のチャンス【大谷翔平「二刀流の血脈」父の教えと投打のスケールアップ編】#最終回
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月13日 17時0分
下半身がどっしりと安定(大谷) (C)ロイター/USA TODAY Sports
【大谷翔平「二刀流の血脈」父の教えと投打のスケールアップ編】#最終回
手術明けのため、今年は打者に専念するしかない。手術したのは右肘だから、上半身のトレーニングには当然、制約が生じる。したがって自主トレから下半身を徹底的に鍛えた。
新たな目標は「走ること」。連日のようにダッシュを繰り返し、下半身をいじめ抜いた成果は打撃にも表れている。
エンゼルス時代は屋外のフリー打撃をほとんどやらなかった。室内にこもってマシン打撃を繰り返すことが多かったが、ドジャースでは積極的に屋外で打った。
野手組のキャンプが始まるなり、他の主力とともにほぼ1日おきにグラウンドに出てフリー打撃。バックスクリーン越え、飛距離140~150メートルという特大の当たりを連発し、首脳陣やナインの目を白黒させた。
打球の半分近くが面白いように外野フェンスを越えていく。その飛距離といい、確実性といい、打撃面で進化しているのは間違いない。ドジャースの首脳陣たちは、大谷のフリー打撃を見てこんなふうに話しているという。
「大谷は下半身の力を利用して打球を遠くに飛ばしている。始動で地面を強く蹴り、その力を足から腰、そして腕と順を追って伝えている。そのほとんどを芯でとらえているのはバットがボールに対して最短距離で出ていることが大きいが、それだけではない。下半身がどっしりと安定しているからこそ、バットの軌道もブレないし、正確にボールをとらえられるのだと思う」
オフの間に下半身を強化したがゆえに、ボールを正確にとらえる確率は上がり、打球の飛距離もこれまで以上に伸びたようなのだ。リハビリが進むにしたがって、上半身にも強い負荷をかけられるようになる。そうなったら、いったい、どれくらい打つのか、どこまで飛ばすのか、想像もつかない。
打者に専念できる今季が「三冠王」の最初で最後のチャンス
「大谷がドジャースを選んだのは勝ちたいという強い意思の表れ。目標は当然、チームのワールドシリーズ制覇ですが、個人的には本気で三冠王を取りにいくと思いますね」と、米紙コラムニストのビリー・デービス氏がこう言う。
「大谷は常に自分が先駆者でありたいと考えています。最初にエンゼルスを選んだのも、本格的な二刀流にチャレンジしやすい環境だと判断したからでしょう。日本人選手にとって最も縁遠いと思われがちな本塁打王を獲得した大谷が、次に狙うのはメジャーの三冠王ですよ。右肘手術明けの今季は投げたくても投げられない。投手として復帰する来年以降は、可能な限り打って投げ続けることになるわけで、言い方を変えれば今季は打者に専念できる最初で最後のチャンスですからね」
花巻東高時代は打って甲子園で本塁打、投げて3年時に当時の高校生としては最速の160キロをマーク。プロ入り後も前代未聞の二刀流を貫くと、メジャーでは初めて投打の規定をクリア、本塁打王のタイトルまで獲得した。ステージが上がっても次々に新たな扉をこじ開けてきた大谷が、今季は打者としてデッカイことをやってくれそうだ。(つづく=【世界に誇るパワー編】)
◇ ◇ ◇
大谷は元アスリートだった両親の元、出産に関わった看護師から褒められるほど「ずいぶんしっかりとした顔つき」で生まれたという。
●関連記事【続きを読む=世界に誇るパワー編】…では、誕生秘話や両親のスポーツ歴、名前の由来などについて詳しく報じている。
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