「年功序列=JTC」と揶揄されるけれど…日本型の成果主義の意外な落とし穴
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月18日 9時26分
旧態依然?
ちょくちょく目にする「JTC」という略語。ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニーの略で、要するに伝統的な日本企業、「旧態依然の古い体質の会社」などと揶揄する言葉だ。
〈社内の内線番号を偉い人順で振り直してほしいと依頼を受けて、うちの会社のJTCっぷりに胸が熱くなり、感動すら覚える 君たちは内線番号にすら上と下を作らないと気がすまないのかと〉──先日も、こんなITエンジニアのXのポストがSNS上で話題になっていた。まあ、JTCにもほどがあるか。ある大手メーカーの人事担当者がこう明かす。
「新人や若手社員は会社の慣習に染まり切っていない分、第三者の視点でクールに社内を見られるので、〈それっておかしくないですか?〉と、“JTCの常識は社会の非常識”という鋭い指摘をしてくれたりする。ただ、上司が聞く耳を持てるタイプばかりではない時点で、ウチの会社だってJTCですけどね」
■中小企業社員300人の64.6%が「社長の考えが古い」と
人事評価制度の構築・運用・クラウド化を支援する「あしたのチーム」が4日に発表した「中小企業社員300人に聞いた“ウチの社長”調査」によると、64.6%が、「社長の考えが古い」と回答。41.7%が、自社がJTCと思っているという結果が出た。
そして「古いと思うこと」のトップは「給与体系」の21.7%で、次いで「人事に関する制度」の17%。「年功序列」に不満がくすぶっていることがうかがえる。
年功序列=JTC。一般的にはそう見られがちだが、「成果主義の方がいいとばかりは言えないでしょう」と、生活経済ジャーナリストの柏木理佳氏はこう続ける。
「日本の企業に多く見られる目標管理制度の成果主義は、人によって目標設定を変えるなど、上司のさじ加減で評価が左右される部分もあります。点数にならない地味な仕事は人任せ、誰もやらなくなるといった弊害もある。その結果、皆が個人プレーに走りがち。チームワークが乱れて、むしろ業績が悪化したなんてケースもあります」
そもそも日本型の成果主義は新人、若手のモチベーションを上げることに力点が置かれているので、飛び抜けて優秀な社員はさておき、当然、点数にならない損な仕事も引き受けるフツーの中堅社員の不満は募る。
「先の昇給が見通せないとなれば、転職の強い動機になる。人手不足に拍車がかかります。やはりある程度は昇給を担保する年功序列+成果主義というハイブリッド型が、日本では馴染みやすいのでは」(柏木理佳氏)
なるほど。
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