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なぜミャンマーでクーデターが起きたのか? -民族的なからくり- 

Global News Asia / 2021年2月27日 6時0分

シャン州インレー湖での抗議デモの様子 (フェイスブックの投稿より) 

 2021年2月、ミャンマーはメンツを大事にする国だ。少々無理なお願いを相手に通したい時は相手が「そうだね、そうしましょうか」と言いやすい『小芝居』をしばしば挟む。

 例えば、車が違反をした場合、交通警察は賄賂が欲しい訳だけし、賄賂をもらえば解放する気満々なのだが、運転手側が「いくらお支払いすれば解放してもらえますか」と単刀直入に言ってくるのは好まない。それでは自分達がまるで「卑しい人間のようではないか」と彼らは思う。

 そこで、道の端に車を止めて「おいおい、違反したからには免許を取り上げるしかないな」「それは困ります」「困るがしょうがないだろう」「免許なしでは明日から仕事が出来ません」「仕事が出来ないとは、、、それは大変だな、しかし規則だから免許は頂かないとな」「学費のかかる子供が三人もいるんです、そこを何とか」「確かに、、、それは気の毒だな。しかし規則は規則だし、、、」「お兄さん、いつも交通警察の仕事でお疲れでしょう、コーヒー代でもお渡ししますから」「コーヒーか、、、ふん」とここでやっと一万チャット(約750円)を渡すと、やっと「子供もいるんだから、もう交通違反なんかするんじゃないぞ」と解放される。これがミャンマー流、相手のメンツを潰さない交渉術の一つだ。

 それでは何故、今回の2月のクーデターが起きたのか。2020年11月の総選挙でアウン・サン・スー・チー氏率いるNLDは議席の8割以上を獲得し、圧勝する。国軍側としても、この結果は予想をあまりに大きく上回る大敗だったに違いない。この後、国軍側はNLDのアウン・サン・スー・チー氏に選挙に不正があったのではないか、再三申し入れ、調査を要求する。

 おそらく軍としては、この申し入れに対し、アウン・サン・スー・チー氏が「確かに、選挙には不備があったのかもしれませんね、ではもう一回、選挙をやり直しましょうか」と言って、どさくさに紛れて、軍の体面を保つほどの議席をこっそり分けてくれる、というロードマップを描いていたはずだ。しかしこの提案は取り上げられこともなく却下され、軍としては「敢えて腰を低くして、表立った衝突を避け、我らに議席を譲る機会を再三与えたにも拘わらず、無下に扱われ、恥をかかされた」と考え、それまでの不満に一気に火がつきクーデターにつながった。

 クーデターの起きる2日前には、国軍関係者の間では2月1日のクーデターは確定とされていたが、前日の1月31日、「もう一度」国軍側とアウン・サン・スー・チー氏の間で、この「選挙の不正」に関しての最後の話し合いがもたれる。しかし交渉は決裂し、軍はクーデターを決行する。

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