年金夫婦で「月31万円」だったが、73歳夫の死去で「遺族年金」を足しても年金激減、さらに「老人ホーム月額費」にも暗雲、妻「これからどう生きていけば」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月12日 10時15分
どんな夫婦でも、いつかは別れが訪れ、必ず1人残されます。そのとき、残された家族を支えるのが遺族年金です。しかし、誰もが十分な金額を手にできるとはいえません。なかには「いまの生活を続けることができない」という事態に訪れることも。みていきましょう。
健康で元気でも、夫婦で「老人ホーム入居」を選択した伯母夫婦だったが…
――老人ホームに入っていた伯母が、一時的に同居することになった
投稿者は40代男性。一時的に同居をスタートさせたという伯母はもうすぐ70歳だといいますが、健康そのもの。「健康なのに老人ホームに入居⁉」と思うかもしれませんが、最近は、元気なうちに老人ホームに入居という高齢者が増えています。年を重ねていけばいくほど体の自由はきかなくなり、時には人の助けが必要になる。そうなると、たとえバリアフリーな自宅であっても生活するのも大変。それであれば介護や医療の体制が整った老人ホームに入ったほうが安心・安全……健康でも老人ホームへの入居は、そんな理由です。
たとえば、民間企業が運営する有料老人ホームのなかでも「自立型」といわれるものは、介護を必要としない人をターゲットにした施設。60歳以降の自立(要支援・要介護認定を受けていない)の人であれば入居可で、介護を必要としたら退去しなければならない、というスタイルが一般的です。また「住宅型有料老人ホーム」のなかには、自立している人を受け入れているホームも多くあります。
さらに「夫婦で入居可」のホームも。そのため、老後を見据えて自宅を処分して老人ホームに入居という夫婦も珍しくありません。伯母はまさにそのケース。5年前、伯母は65歳、その夫は68歳。夫婦で市民マラソン大会に出るような、まさに健康そのものの夫婦だったとか。だからこそ、「夫婦揃って老人ホームに入居」というのは親戚の間でも衝撃的だったといいます。
――医者や介護が必要になっても、提携施設がすぐ隣にあって安心
――そういう環境のほうが安心できて、ずっと健康でいられる
そんな伯母が、なぜ男性の家に身を寄せているのか。それは伯母の夫が急逝したことがきっかけ。健康が自慢の人だっただけに、誰もが言葉を失ったといいますが、特に伯母の憔悴ぶりは親戚でも目も当てられないほどだったと振り返ります。唯一の救いといえば、ホーム暮らしだからひとりでも安心……悲劇が起きてからではありますが、改めて、伯母夫婦の選択は最良なものだったと感じたといいます。
共働きだった伯母夫婦…夫死去で妻が手にする遺族年金「月4,000円」の衝撃
伯母から連絡があったのは、つい1ヵ月ほど前。老人ホームを退去することになったが、自宅は売却して住むところがない、一時的に住まわせてほしい、といったものでした。理由を聞くと「老人ホームの月額費を払うのが苦しくなったから」というものでした。
――自宅を売却までして、費用は心配ないはずなのに……どうして?
夫婦のマネープランはこう。まず老人ホーム入居の際にかかる入居一時金(家賃の前払いのようなもの)は、自宅の売却資金でまかない、月々の費用は、婦の年金と貯金の取り崩しで対応する……共働きだった伯母夫婦の年金は、夫が月17万円、妻(伯母)が月14万円で計31万円。手取りにすると月26万円ほどだったといいます。月額費用は、そこに貯蓄をを取り崩して月5万円をプラスして払っていく……計算上、夫婦ともに100歳近く長生きしても大丈夫というシミュレーションだったとか。
しかし夫の急逝で事態は一転。通常、元夫の会社員が亡くなれば、残された妻は遺族厚生年金を受け取ることができます。遺族厚生年金の年金額は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3。ざっと計算すると月7.6万円ほどになります。伯母自身の年金に7.6万円がプラスされるのであれば、年金額は月20万円を超えますが、伯母の場合、手にした遺族年金は月4,000円ほどなんだとか。これは「65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある場合、老齢厚生年金は全額支給、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となる」というルールのため。伯母の老齢厚生年金は月7.2万円ほどなので、夫の遺族厚生年金との差額となる4,000円ほどが受け取れるということになります。
1人部屋に移ることができたとしても、月額費用は夫婦で入居していた時の半分になるわけではなく、貯蓄の取り崩し額は、今までよりも多い「月7万円」ほどになるのだとか。お金が減るスピードが早くなることに不安を覚えるも、退去したら戻る家はない。子どものところに身を寄せようと思ったが海外在住で、高齢者にはハードルが高いことは容易に想像できます。
――どう生きていけばいいのか……本気で悩んだわ
そこで泣きついてきたのが、ホームからも比較的近くに住んでいた男性だったという結末。
――いまある貯金と年金、身の丈にあった施設が見つかるまででいいから
と伯母。しばらく、奇妙な同居生活が続きそうだといいます。
[参考資料]
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