79歳「年金月18万円」の父だったが…52歳のひとり娘「わたし、老後破産するかも」と絶望する「老人ホーム請求額」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月20日 7時15分
いままで家事なんてやってこなかったから……そんな妻を亡くした夫。1人暮らしに不安を募らせるなか、ひとつ選択肢が「老人ホームへの入居」です。そこで問題になるのが入居費用。マネープランが甘く、周囲に迷惑をかけてしまうことも珍しくはないようです。
まさにピンキリ…「老人ホーム費用」の相場
老人ホームにかかる費用は、大きく「入居一時金」と、毎月払う「月額利用料」の2つがあります。
入居一時金は、家賃の前払いのようなもので、施設ごとに償却期間が設定されています。一般的に5~15年程度とされていて、償却期間が終わる前にホームを退去する場合、未償却分を返還となります。ただし、たいてい「初期償却」が設定され、その分はクーリングオフ期間が過ぎると即償却となり、その分のお金は戻ってきません。
たとえば「入居一時金1,000万円、初期償却20%、償却期間5年」というホームの場合、クーリングオフ期間後にで200万円を償却。1年で160万円、5年で800万円が償却されるということになります。そのため、あらかじめ、入居期間が短いと思われる場合は注意が必要です。
月額費用は、施設やその種類によって、含まれている内容はさまざま。一般的に、施設に住むための費用として「家賃」、施設から提供される食事に対する「食費」、施設を維持管理するための費用として「管理費」、施設内で利用する水道や電気代として「水道光熱費」は必ず含まれています。さらに介護を前提とした施設であれば「介護費用」も含まれているでしょう。
費用の相場は、一般的に特別養護老人ホームやケアハウスといった公的施設は安く、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅といった民間施設は高い傾向にあります。
入居一時金は、ゼロ~数千万円、高級をうたう施設の場合は数億円というケースも。また特別養護老人ホームは、そもそも入居一時金は不用。そのため入居希望者は多く、特に都市部では入居1年待ちということも。月額費用は公的施設であれば5万~15万円、民間施設であれば15~30万円程度。リーズナブルなところでは、公的施設並みの5万円~というところもあるようです。また入居一時金は家賃の前払いという特性上、高く設定されている施設は、その分、月額費用が安い、というケースも。
そんな老人ホーム入居のための費用。入居一時金はまとまったお金が必要となるので、貯蓄からどんと支払い、月額費用は年金をベースに足りない分は貯蓄で補填していくというのが一般的。
数千万円になる入居一時金は自宅の売却益で……と考える人も多くいますが、想定よりも安くしか売れず、入居を断念するということも珍しくないようです。
おひとり様の生活が苦痛だった70代の父「老人ホーム入居」を決断したが…
――「老人ホームに入る!」と宣言した父を止めるべきだった
そう後悔の念を投稿した52歳の女性。今年、79歳になる父が、自分で見つけたという老人ホームへの入居を決めたのは、かれこれ5年前。家事をほとんどしてこなかった父にとって、母が亡くなり1人となった毎日は重労働の連続だったとか。そこで食事も掃除も洗濯もしてくれて、介護や医療体制もバッチリな老人ホームなら楽だし安心、決断したといいます。
女性の父が考えるマネープランは、以下の通り。「お金の心配はいらんよ」と豪語していたとか。
●入居一時金3,000万円
→貯蓄から一括払い
●月額費用(費用に含まれていないものも含む)
→年金「月18万円(手取り)」と、貯蓄からの取崩し「月8万円」
ところが想定外の事態が女性の父を襲います。それは昨今の「値上げ」。まず燃料費の高騰により、ホームの水道光熱費と管理費が値上げ。さらに人手不足解消のために人件費も膨らんだとかで、月額費用全体が20%ほどの値上げとなったそうです。
さらに「そもそも父のマネープランは甘々だった」と女性。支援・介護を必要としない父は、ホームでも活発に活動。その分、レクリエーション代などが別途かかり、毎月、想定していたよりもプラス2~3万円、多い時で5万円ほど多くの費用がかかっていたといいます。
そのような状況に、昨今の物価高が襲ったというわけです。株式会社Speee/「ケアスル 介護」による『介護施設の費用はいくら?老人ホームの費用アンケート』によると、「老人ホームの費用を誰がどのように負担しているか」の問いに対して、最多は「入居者自身の貯金と年金」で57.7%。「入居者自身の年金」が33.3%。8割強が入居者自身で何とかしているという状況。一方で「子供世帯が負担」が11.0%。自分では払うことができずに、子どもに頼らざるを得ない入居者も珍しくはありません。
「このままでは、あと数年で貯蓄が底をついてしまう」と、ひとり娘である女性に泣きついてきた父。仕方なく、一部、女性が肩代わりすることになりました。
現在、老人ホームからの請求額は、通常は毎月30万~35万円ほどですが、さらに5万円ほど高いときも。
――ちょ、ちょっとお父さん、先月、何に使ったのよ!
と、老人ホームから引落しがされる預金通帳をみて、思わず言葉を失い、そして父を問い詰めるひとり娘。最近はよくある光景だといいます。
女性の毎月の負担は5万~10万円ほど。年齢的に、自身の老後を見据えて貯蓄を本格的に進めないといけません。
ジブラルタ生命保険株式会社が20~69歳の男女に行った『おひとりさまに関する調査2022』によると、「現在の貯蓄額」は平均707万円。「100万~200万円未満」が13.8%、「500万~1,000万円」が11.2%、「1,000万~2,000万円」が8.3%と続くなか、最多は「0円」で23.1%。独身生活を謳歌していると思われがちなおひとり様ですが、このままでは将来が危ういという人も珍しくはありません。
女性も将来を考えると、まだまだ貯蓄は心許ないのでしょう。それにも関わらず父の老人ホーム費用を一部肩代わりしなければならず、しかも、それがいつまで続くことになるかも分からない……「このままだと私、老後破産するかも」と毎日、不安を募らせているといいます。
[参考資料]
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