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会社経営が順調なら”節税”に力をいれたほうがいいですよね?→いや、むしろ”納税”したほうがいい…そう答える「納得のワケ」【不動産売買のプロが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月3日 7時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

経営がうまくいくと、その分税金の負担が大きくなります。そのため「不動産投資よりも節税に力を入れたほうがいいのでは?」と考える人もいるようです。しかし、『御社の新しい収益基盤を構築する 区分オフィスビル投資術』(ビジネス教育出版社)の著者である青木龍氏によれば、「長い目で見れば、むしろ納税したほうがいい」のだと言います。ここでは著書より一部抜粋し、その理由をお伝えすると共に、不動産投資の中でも「オフィスビル投資」を推す理由を紹介します。

「節税」よりも「納税」のほうがメリットあり

「本業が順調なら、不動産投資をするよりも節税をしたほうがいいのではないか?」そんな意見もあるかと思います。

節税は決して悪いことではありませんが、不動産投資をするしないにかかわらず社会的信用の面からもむしろ納税をしたほうがいい、と私は考えます。特に不動産投資をするなら、しっかりと納税をしておいたほうがいいでしょう。

会社の調子が良ければ良いほど、支払うべき税金の額も増えますから、できるだけ節税をして税金の支払いを抑えたいと考えるのは当然です。有価証券や不動産投資を行う、生命保険に加入するなど、投資という側面であればその考え方は正しいでしょう。

しかし、中には高級車やクルーザーや高級ブランド品(時計など)を購入して「節税+嗜好品」として会社のお金をモノに変える人もいます。

正しく行えば、節税が悪いことだとは言いません。しかし、金融機関からの社会的信用を考えると、むしろ納税したほうがいいと思うのです。金融機関からの社会的信用を得られる=今後の融資が有利になるからです。投資をしないにしても今後の経営資金を調達する場合でもメリットがあります。

たとえば、1億円の経常利益が出たA社とB社があるとします。A社はきちんと納税を行い、B社は5,000万円の節税を行って納税しています。A社は納税が約30%なので、3,000万円が納税額、7,000万円が純利益として手元に残ります。

一方、B社は節税した残り5,000万円から納税するので、納税額は1,500万円、純利益が3,500万円になります。純利益に倍の違いが出ますね。

では、両者を社会的信用の観点で見てみましょう。私の経験上、金融機関は一般的に純資産に対して3倍のレバレッジで融資を考えてくれます。レバレッジとは「経済活動において他人資本を使うことで自己資本に対する利益率を高めること。その倍率」という意味です。

A社とB社が翌年に金融機関から融資を受ける場合、A社は7,000万円の純利益の3倍の2億1,000万円の融資を受けることができます。手元資金を加えると2億8,000万円の経営原資で次年度をはじめることができます。

一方、B社は3,500万円の純利益の3倍で1億500万円の融資を受けることができます。手元資金を加えて、1億4,000万円で次年度をはじめることになります。

もちろん、これは融資を“受けられたら”の話です。社会的信用でA社に劣るB社が融資を受けられない可能性もなくはありません。その場合には、次年度の経営資源の差はさらに大きくなります。

くり返しになりますが、不動産投資も節税の1つなので節税そのものを否定するわけではありません。しかし、下手な節税をするくらいなら納税をして社会的信用を獲得した上で、営業外収益をもたらす賢い投資をしたほうが、長い目で見ると得と言えるのではないでしょうか。

100年企業になるためには「貸事務所業」が最強の手法

そして、営業外収益をもたらす賢い投資の手法として私がおすすめしているのが不動産投資――それもオフィスビル保有による投資です。経営の側面から言えば、これは本業に「貸事務所業」をプラスすることになります。

もしかすると「貸事務所業」という言葉に耳馴染みがないかもしれません。貸事務所業とは「主として事務所や店舗、その他の営業所を長期にわたって賃貸する事業」のことです。

帝国データバンクの【全国「老舗企業」分析調査(2022年)】によると、現在、日本には4万社を超える老舗企業(創業100年を超える企業)が存在するそうです。

そしてその中で老舗企業の業態別に示した件数データが出ています。1~5位までをお伝えすると、

  • 5位……一般土木建築工事業:621社
  • 4位……酒小売業:687社
  • 3位……旅館業:738社
  • 2位……清酒製造業:893社
  • 1位……貸事務所業:1245社

と2位に1.5倍近い差をつけてトップが「貸事務所業」なのです。

さらに言えば、貸事務所業を専業にしているより、副業的に経営している事業者のほうが圧倒的に多いです。代表的なのが「財閥系」と言われる企業たちです。

日本で「4大財閥」として知られる三井財閥、三菱財閥、住友財閥、安田財閥は明治の頃より継続して事業を行い、150年以上も事業を継続しています。

もちろん、財閥系は商社や銀行、住宅系不動産などの多角化経営を行っています。しかし、売上や純資産規模を大きくして来られたのは、間違いなく「オフィスビルの保有」が要因であり、保有するオフィスを貸し出す貸事務所業によるものだと、私は考えます。

なぜ同じ不動産でも住宅よりビルなのか?

「不動産を賃貸するなら、オフィスビルではなくマンションなどの住宅でもいいのでは?」そのように考える方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、先の財閥系の話で言えば、4大財閥は不動産において住宅やマンションも多数販売しています。それに、現在も「兼業大家で不労所得を得よう」をテーマにした書籍も多数販売されています。

しかし、私としては、住宅系はおすすめしません。というのも、投資においては「供給されていないもの」に投資することが一番安定するからです。

ビル系も住宅系も、不動産は「大規模」「中小規模」に分けることができます。住宅系の大規模と言えばタワーマンションやホテルなどです。中小規模は通常のマンションや戸建てなどです。しかし、いずれの場合も住宅系は供給過多な状況が続いています。

総務省統計局の調査「住宅・土地統計調査」(5年ごとに実施)によると、平成30年(2018年)の時点で空き家の数は848万戸と、前回(2013年)の調査よりも増加傾向にあるようです。

しかも、供給される背景には「買いたい人」のニーズ(購入ニーズ)があり、それは「借りたい人」のニーズ(賃貸ニーズ)ではありません。

購入ニーズによって供給されるものは、あくまでもその人によって所有・消費されるだけであり、お金を生む資産にはなり得ないのです。

青木 龍

株式会社Agnostri(アグノストリ)代表取締役社長  

※本記事は『御社の新しい収益基盤を構築する 区分オフィスビル投資術』(ビジネス教育出版社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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