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ミニバンブームに風穴を開ける(はずだった)前席3人掛けの乗用車3選

&GP / 2022年5月23日 6時0分

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ミニバンブームに風穴を開ける(はずだった)前席3人掛けの乗用車3選

乗用車のシートレイアウトは、軽自動車や3列シートのミニバンなどを除けば、フロント2名、リア3名という配列がほとんど。ところがフロントもリアも3名という「3×2レイアウト」を採用したクルマもあったんです。

「え、ヒジ掛けは? シフトレバーは? どんな配置になってんの?」と気になる方もいらっしゃるでしょうが、それはおいおい説明させていただくとして、そんな世にも珍しい3×2レイアウトを採用した3モデルをご紹介します。

 

1. ミニバンの“新しいカタチ”を提案!ホンダ「エディックス」

まずは一番新しいモデルからいきましょう。といっても2004年なのでだいぶ前になりますが、2004年に登場したホンダのエディックスです。

▲エクステリアはなかなか獰猛なフォルムで、ヘッドライトを中心とした顔つきはシャープな印象

比較的新しいということもあり、「あったねー、エディックス」とご存じの方も多いと思いますが、意外とフロントシートが3座だったことまでは知られていないんですよね。ホンダはこの3座×2列の組み合わせを、子育て世代に支持されているミニバンの“新しいカタチ”として世に送り出したのです。

▲シートはぞれぞれ独立しているため、ベンチタイプに比べ座り心地は良好

さかのぼること1990年台半ば~2000年代半ばは、トヨタのノア/ヴォクシー、日産 セレナ、ホンダ ステップワゴンに代表される5ナンバーサイズの箱型ミニバンが大人気。「子供が生まれたらミニバン」が合言葉のような状況でした。

しかしその一方で、「四角い“商用バン感”がイヤ」とか「生活感出まくりでイヤ」「まわりと一緒はイヤ」といったアンチ派がいたのもまた事実。そんな人たちをターゲットに、スライドドアじゃないし3列シートでもないけれど、ファミリーカーとしてオススメですよ、と提案したのがエディックスだったというわけです。

▲センターシートに子ども、両サイドに親というレイアウトが定番。各シートが単独でスライドできるため肩が当たることもなく、子どもの世話もしやい!

筆者は過去に1週間ほどこのクルマを日常的に使用したことがありますが、この手のレイアウトは「ドライバーがさみしくない」ことも大きなメリットだと思います。

しかしこのエディックス、残念ながら2009年に生産中止となってしまったので販売的には成功とは言えません。しかしアンチミニバン派からはそれなりに支持され、他車と比較競合することなくエディックスの指名買いという人も少なくなかったそうで、もう一代続いていたらまた状況は変わっていたのかもしれません。

 

2. ミニバンではなくハイトワゴン!日産「ティーノ」

続いてご紹介するのは1998年にデビューした日産 ティーノ。ティーダじゃありません、デューダでもありません。ティーノです。

▲「なんか草食恐竜にこんなのいたような…」という優しい顔付きが特徴のティーノ

こちらはミニバンという表現はしておらず、「快適・快速 ハイトワゴン」がコンセプト。写真で見る限り、全高はエディックスよりティーノの方が低く感じますが、どちらも1610mmです(登場時、2WD)。ハイトというほど背が高くは見えませんが、確かに高めのワゴンではありました。

ちなみに全長×全幅はというと、エディックスが4285×1795mm、ティーノが4270×1710mm(同上)と、ティーノの方が若干コンパクト。横並びに3人となれば気になるのは室内幅ですが、エディックスの1535㎜に対しティーノは1500㎜(同上)と、35mmだけエディックスの方が広くなっています。

▲3座独立のエディックスに対し、ティーノはベンチタイプを採用。コラムシフトでヒジ掛けはなし。ただし、シート中央の背もたれ部分を前にパタンと倒せば、ヒジを掛けながらリラックスして運転できます

ユニークなコンセプトを引っ提げミニバン全盛の1998年に登場したティーノでしたが、その魅力が伝わりにくかったのか、あるいは時代が追いついて来なかったのか、さほど販売面では振いませんでした。

あまり知られていませんが、2000年には100台限定でハイブリッドモデルも加わったのですが、これも起爆剤にはならず。2003年に残念ながら生産中止となってしまいました。

 

3. カッコいいのか悪いのか フィアット「ムルティプラ」

3台目は国内メーカーではなく、イタリアを代表する自動車メーカーのひとつフィアット社のムルティプラです。実は同車のデビューはティーノ同じ1998年(日本への導入は2003年)で、ポイントはなんと言っても顔。これはもう好き嫌いがハッキリと分かれるであろうデザインです。

▲初めて見た時「なんてダサいんだ」と思ったのはココだけの話ですが、見慣れると「いいな」と思えてくるからクルマのデザインは不思議です

写真のとおりずんぐりむっくりな印象のムルティプラですが、実際のサイズはというと、全長4005×全幅1875×全高1670mm(日本導入時)と、エディックスやティーノに比べ全長は短いものの、広く高いサイズとなっています。全幅1875mmはかなり横幅がある方なので、大人3人横並びでも窮屈な思いはしなくて済みそうです。

▼シートはそれぞれ独立しているため、ホールド性も良好。5MTのシフトレバーは2代目シビックタイプR同様インパネ部分にあり、実は運転しやすかったりします

▲センターシートを使用しない際は、ドリンクホルダーやテーブルとして使えるので便利

▲どうです? 大人6名でドライブ。なんとなく楽しそうに見えませんか?(横から見たらきっと鬼シャコタン) ちなみに両サイドミラーの内側にあるヘッドライト(のようなもの)はハイビームです

エンジンは国産勢が2Lなのに対し、こちらは1.6L。実際に運転したこともありますが、やや非力な印象であることは否めません。3~4名なら気にならないでしょうが、大人6名フル乗車はなかなか厳しいはず。

またコレはメリット・デメリットのどちらにもなると思うのですが、このクルマ、MTしかありません。なんとも潔いといいますか、運転が好きな人にとっては貴重なMTですし、実際、高回転まで引っ張ってシフトチェンジすることも楽しかったりします。

▲2004年のマイナーチェンジでフェイスリフトされた後期型。せっかくの個性が薄れてしまったような気も…

▲ムルティプラという車名は1998年の本国デビュー時に初めて付けられたものではなく、1956年に誕生しタクシーにも採用された「600 ムルティプラ」が最初

 

■中古車はギリ手に入るも一期一会の感覚で!

最後に「3×2レイアウトいいな、ちょっと気になる」という少数派(良い意味で!)のみなさんに、各車の中古車状況をお伝えしたいと思います。

まずエディックスの全国での流通量は50台程度で、30万円前後の物件が中心。諸費用を含めた支払い総額でも、50万円以下で手に入る物件が多数あります。一方ティーノは、残念ながらもう買えないと思った方が良さそうです。現在(5月下旬)の流通量は全国で2台のみでした。

個性爆発のムルティプラは、ティーノほどではないものの流通量は10台前後と、選り好みするのは現実的に厳しそうです。価格は安いもので30万円前後、高いものは100万円以上と、程度(走行距離や修復歴の有無など)によってかなりの差があるようです。台数が少ないので確かなことは言えませんが、物件を見た限りでは顔つきが普通になった後期型より前期型の方が高いような気も…。

ちなみに今回ご紹介した3台は、すべてフルモデルチェンジすることなく静かにその歴史に幕を閉じています。となれば今後3×2レイアウトのクルマが出てくる可能性は…も、もしかしたら今が購入ラストチャンスかもしれませんね。

<文/粕川岩治>

 

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