30年以上前に発売された「スーパーマリオコレクション」は、なぜ子供たちにとって“怪物”だったのか―今では考えられない当時ならではの事情
インサイド / 2024年5月4日 17時0分
ひとつのソフトに複数の作品が収録されている。現代では珍しいことではありませんが、1990年代はそうではありませんでした。ソフトの容量の制約で、まとまった作品を複数本詰め込むということは非常に困難だったのです。
しかし、そんな事情を見事に覆した伝説的なソフトがあります。1993年7月発売のスーパーファミコン用ソフト『スーパーマリオコレクション』(以下マリコレ)です。
ファミリーコンピューター発売10周年を記念して制作されたこのソフト、それまでのマリオシリーズ4作品のリメイク版が収録されているという、文字通り“怪物”でした。この記事では、当時の子供達に多大な衝撃を与えた『マリコレ』を振り返っていきたいと思います。
◆90年代当時のゲーム事情
スーパーファミコンが発売されたのは、1990年11月。1984年生まれの筆者は、翌年の小学校入学を控える保育園児でした。
今はなき八王子医療刑務所に父親が勤務していたため、そこからほど近い神奈川県相模原市の官舎に住んでいました。そこに住む人は、いずれも刑務官か法務教官。つまり、どの家庭も同じ水準の経済力だったということでもあります。
筆者の家も含めて、みんな全国各地から勤務の都合で相模原の官舎にやって来た家庭ばかり。そのため、家によって味噌汁の味や惣菜の内容が全く異なります。北海道出身のMくんがガラナサイダーを飲んでいたことは静岡市出身の澤田家にとっては衝撃的でしたが、逆に黒色のはんぺんを食べている我が家の光景はMくんの家に驚きを与えました。
世帯によって文化やアイデンティティーが異なる官舎。ところが、そんな環境下でも子供のいる世帯は必ずファミコンを所有していた事実もあります。1990年代を迎えると、そこにスーパーファミコンとゲームボーイが加わります。やっぱ任天堂はすごい会社だ!
1990年代中頃になると、ソニーがプレイステーションなるハードを市場投入します。しかし、それがすぐさま普及したというわけではなく、1995年あたりはまだファミコンとスーパーファミコンの2台体制という家庭のほうが多かった気がします。当時の子供は、必要に応じてファミコンとスーファミを切り替えていたのです。
そんな遊び方でしたから、1993年に発売された『マリコレ』は当時の子供たちに最大級のインパクトを与えました。
◆スーファミでファミコン作品が遊べる感動!
『マリコレ』に収録されている作品は『スーパーマリオブラザーズ』『スーパーマリオブラザーズ2』『スーパーマリオブラザーズ3』『スーパーマリオUSA』の4作品。いずれも元はファミコンソフトですが、これらはスーファミのスペックと合わせる形でリメイクされています。
特に『スーパーマリオブラザーズ』は、子供たちがすっかり見慣れた景色がそのままスーファミスペックに変貌してしまいました。それはまさに別世界です。しかし、ステージ構成もルールも操作性も全く同一のため、何とも言えない不思議な感覚になったことをよく覚えています。
『マリコレ』があれば、スーパーファミコンの『スーパーマリオワールド』や『マリオカート』を遊んだあとにファミコンを持ち出すことなく『スーパーマリオブラザーズ』をプレイすることができます。この行程がかなりのショートカットになるってこと、今の若い子には伝わるかなぁ……? もちろん、『マリコレ』で遊んだあとに敢えてファミコン版『スーパーマリオブラザーズ』をプレイしてみるという考え方もできました。
◆GWのお供に最適!
そんな『マリコレ』は、Nintendo Switch Onlineの収録作品にラインナップされています。2024年の今においても十分遊べる作品です。
原作のファミコン版とリメイク版をそれぞれ比較してみるも良し、純粋に遊び倒すのも良し、プレイしながら昔の思い出に浸るのも良し。そして、親から子へこの名作を語り継ぐのも良し。
『マリコレ』収録のリメイク版は、いずれも元々の作品の完成度が高いため現代の子供がプレイしても十分楽しむことができるはず。ゴールデンウィークは家族で『マリコレ』を徹底的に遊び倒して時間を過ごすというのも、悪くない判断でしょう。
名作は、何十年経とうと名作です。卓越したゲーム性は、時代を超えて子供たちを魅了します。コンピューターゲームにとって大事な要素がすべて詰まっている『マリコレ』は、2024年のゴールデンウィークを美しく飾るのに最適なレトロゲームではないでしょうか。
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