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なぜ最近の新幹線駅は「巨大駐車場併設」が増えているのか 各地で見えてきた実情と課題

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月2日 11時30分

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越前たけふ駅

 1964(昭和39)年に東海道新幹線が開業してから昭和末期頃までの新幹線駅は、在来線の主要駅に併設されるケースがほとんどだった。新幹線単独で開設された駅も、連絡バスでアクセスする場合が多かった。

 しかし、ここ20年間で開業した九州・北海道・北陸新幹線の駅では、これまでとはちょっと違う傾向が見られる。すぐ近くには数百台の駐車場が整備され、在来線や連絡バスより、マイカーや家族の送迎で駅に向かう乗客の姿が目立つ。

 駅前に既存の市街地はなく、あってもレンタカーの事務所や交流施設など。他の地域から来た人からすると「何でこんな田園地帯のド真ん中に新幹線駅が?」と疑問を抱かれてしまう場合も多い。しかし、クルマ社会化が進んだ地方では、市街地化よりマイカー用駐車場の整備を優先した「クルマユーザー対応の新幹線駅」が、現状では最適解なのだ。

 2015年に金沢市に、24年に敦賀市に到達した北陸新幹線でも、マイカー用の駐車場だけでなく、クルマユーザーへの配慮が至る所で見られる。いまの時代はなぜクルマユーザー対応駅が求められているのか。まずは、実際に北陸新幹線・越前たけふ駅に行って検証してみよう。

●駐車場「600台」でも足りない?新幹線駅

 24年3月に開業した北陸新幹線の6駅の中でも、「越前たけふ駅」(福井県越前市)は在来線の接続がない。かつ、これまで越前市の主要駅であった武生駅(ハピラインふくい、旧:北陸本線)からの連絡バスは1~2時間に1本、かつ新幹線への接続がいまひとつで、10分少々で運賃500円と使いづらい。その代わりに整備されているのは、約600台の無料駐車場だ。

 この周辺では、もともと在来線の武生駅・鯖江駅などにクルマを停めて、東京・大阪方面に向かう利用者が多かったが、どちらも古くからの門前町(寺院・神社を中心に形成された街)であるがゆえに車でのアクセスが不便で、かつ駐車場を増設しようにも土地がないという悩みを抱えていた。一方で、新幹線が停車する越前たけふ駅の周辺はもともと未用途の土地であり、「非線引き区域」(市街化調整区域などの枠を定める必要がない地域)であるがゆえに、比較的自由な開発を行うことができた。

 越前市はこの場所に「駅西交通広場」を整備し、名古屋方面への高速バスが1日10本停車するバス停も新設。駅は市街地から3キロほど西側に離れているものの、福井バイパス(国道8号)や北陸道・武生ICにほど近い立地を生かして、600台の無料駐車場で「マイカー→新幹線・高速バス」といった利用をしてもらう施策を取った。

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