AOKIの1着8万円「金のスーツ」が好調 「計画比135%」も売れたワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月24日 6時20分
AOKIの「金のスーツ」が売れている、理由は?
紳士服のAOKIが2023年10月に発売した「金のスーツ」の売れ行きが好調だ。1着8万円台の高価格帯商品でありながら、当初の計画比に対して135%で推移している。物価高などで支出を抑える動きもある中、なぜ順調に売り上げが伸びているのか。AOKI商品部スーツ担当でマネジャーを務める栗林努氏に話を聞いた。
●スーツ市場は回復を見せつつも店舗数が減少傾向
新型コロナの感染拡大を受けて、スーツ市場は大きな打撃を受けたが、回復の兆しを見せている。帝国データバンクが実施した調査によると、冠婚葬祭向けである礼服需要の回復やオーダースーツ人気の高まり、「ビジカジ」ウェアの販売拡大が各社の業績アップを後押しした。
そのほか、販売単価が上昇したことも要因に挙げられる。「為替や原材料の高騰を含めてコストが上がっているぶん、各社ともに割引率を見直すなどの施策で販売単価が上がっている」
一方で、スーツ店の数は2023年度末時点で2300店舗前後と、コロナ前に最も多かった2017年度末(2997店)から約700店の減少となり、8割前後まで縮小している。大手を中心に、コロナ禍に行った大規模な店舗整理が影響したと考えられる。
●高価格帯スーツを販売するAOKIの狙い
AOKIは、2023年に65周年を迎えたことを記念して「金のスーツ」を発売した。当初の計画比で135%と、好調な売れ行きを維持する背景にはスーツの販売環境が変化していることも大きいと、栗林氏は指摘する。
「地方を中心に、10万円を超えるような高価格帯スーツの売り場が減少傾向にある。一方で、高級感のあるスーツを着用したいというニーズも一定数存在している。需要と供給にギャップが生まれているタイミングで登場した『金のスーツ』が支持されたのではないか」
実際に、高価格帯のスーツを買える場所が近隣になくて困っていたという顧客からの購入も多いという。
高価格帯のスーツを望む声がある中、業界ではパターンオーダースーツの売り上げも伸びている。AOKIもパターンオーダーのサービスを展開しているが、既製品の高価格帯にこだわったのはなぜか。
「オーダースーツ市場は確かに伸びているものの、完成に3週間~1カ月程度を要してしまう。仕立てのいいスーツがすぐに欲しいのに、売り場が減ってしまい困っている消費者のニーズに応えたかった」
高級スーツ需要の伸びと店舗数の減少。AOKIは、現場のギャップを埋めることに成功した。
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