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新型「iPad Pro」がM3チップをスキップした理由 現地でM4チップ搭載モデルと「iPad Air」に触れて驚いたこと

ITmedia PC USER / 2024年5月9日 13時0分

 消費電力、ユニフォミティー、低照度部分の階調など、有機ELディスプレイの採用に伴う犠牲は感じられず、(価格以外の)トレードオフなしに“有機EL化”に成功している。

 タンデム構造とすることで、効率が高い領域で有機EL素子を駆動できるようになった。このパネルを駆動するために、専用の回路が必要だった。そこで登場するのがM4チップだ。

●“全て”が刷新されたM4チップ

 「M3チップ」ファミリーが登場したのは、2023年10月だった。そして今回、新たに「M4チップ」が登場した。M3からわずか5カ月程度で、新たなナンバーを刻むSoCが出てきたことに、驚いた人も少なくないはずだ。

 このM4チップは、M3チップファミリーと同様にTSMCの3nmプロセスで製造されているが、改良されたプロセスを利用することで、電力効率が改善されている。

 Appleは「大幅に薄型/軽量化された新しいiPad Proに搭載するために、M4チップが必要だった」というが、実はiPad Proの冷却効率は新型になって20%向上している。グラファイトシートを用いることで速やかに熱を拡散している効果もあるが、より薄い13インチモデルに関しては、Appleロゴの部分を銅製のヒートスプレッダーとすることで熱の伝達速度をより向上している。

 iPad Proへの採用を想定して、M4チップ自身もSoC内の各種コンポーネントの性能バランスを最適化してきたという。「冷却性能は20%向上している」ということは、その分だけチップの性能を引き出しやすくなったともいえる。ほとんどの場面で、M4チップは従来のM2チップ搭載のiPad Proよりもクールに動作する。計算上、同じ処理を行った場合M4チップはM2チップ半分の電力消費でこなせるからだ。

 新しい製造プロセスを採用する場合、 一般的に搭載する回路コンポーネントも合わせて刷新するのが通例だ。M4チップも例外ではなく、リリース間もないM3チップから変更された部分もある。

 CPUコアについては「Pコア(高性能コア)」「Eコア(高効率コア)」共に新設計となっており、特にEコアの性能は大幅に向上したという。最大6基のEコアの“出番”が増えたことも、電力効率の改善に貢献しているようだ。

 GPUコアについては、基本的なアーキテクチャはM3チップから大きく変化していない。ただし、回路の最適化は進められており、ハードウェアベースのレイトレーシング処理の実効パフォーマンスが最大2倍に向上している。

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