通貨金融庁、金融政策を維持も今後の動向注視(シンガポール)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月22日 0時20分
シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は4月12日、これまでの金融政策を維持すると発表した。同庁が金融政策の維持を発表するのは2023年4月以降、連続して4回目だ(2024年1月31日記事参照、注1)。
MASは政策金利を設定せず、シンガポール・ドルの名目実効為替レートの誘導目標(政策バンド)を定める金融政策を実施している。MASは「現行の金融政策は引き続き適正だ」と説明して、政策バンドの傾き(上昇率)は実勢水準とし、変動幅、中央値の調節は行わなかった。
MASコアインフレーション指数(MASコア、注2)は当面、高水準で推移し、2024年第4四半期(10~12月)から2025年にかけて低下すると予測した。MASコアの上昇率については、2024年を通じて平均2.5~3.5%の範囲〔財・サービス税(GST)増税(注3)の影響を除くと、1.5~2.5%の範囲〕で推移するとの見通しを示した。
MASは発表の中で、貿易産業省(MTI)が同日に発表した2024年第1四半期(1~3月)のGDP成長率の速報値(注4)に触れ、「エレクトロニクスの需要回復と世界的な金融緩和により、製造業と金融セクターの成長が回復し、2024年のGDP成長率は1~3%になる」との見方を示した。一方、「世界経済と国内経済の動向を注意深く見守り、インフレと経済成長に対するリスクに警戒を続ける」として、今後の動向を注視する姿勢を示している。MTIの発表によると、第1四半期の経済成長率は速報値で前年同期比2.7%で、前期(2.2%)から成長が加速した。季節調整済み前期比では0.1%成長したが、2023年第4四半期の成長率(1.2%)からは減速した。
(注1)MASは通常、四半期ごとに金融政策を更新して発表している。
(注2)消費者物価指数(総合)から住宅関連費と自家用道路交通関連費を除いた指数。
(注3)GSTの税率は2022年まで7%だったが、2023年から8%、2024年1月1日からは9%に引き上げられた。
(注4)速報値は主に2024年1月~2月の統計に基づく。
(糸川更恵)
(シンガポール)
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