EUの2023年の農産品・食品貿易収支、過去最高の黒字に(EU、ウクライナ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月10日 14時10分
欧州委員会は4月5日、EUの2023年の農産品・食品貿易報告書を発表した(プレスリリース)。EU域外国への農産品・食品の輸出額は前年とほぼ同額の約2,286億ユーロに対し、輸入額は前年比7%減の約1,586億ユーロで、貿易収支は過去最大の701億ユーロ(同22%増)の黒字となった。
輸出相手上位3カ国(金額ベース)は、英国(構成比22%)、米国(12%)、中国(6%)だった。日本は78億7,300万ユーロ(構成比3%、前年比5%減)で、5位だった。輸出額上位3品目は、穀物調製品・粉製品(241億5,200万ユーロ)、乳製品(196億400万ユーロ)、ワイン・混成ワイン(175億8,600万ユーロ)で全体の約3割を占めた。
輸入相手上位3カ国(金額ベース)は、ブラジル(構成比11%)、英国(10%)、ウクライナ(7%)だった。輸入額上位3品目は、果物・ナッツ類(221億5,900万ユーロ)、油糧種子・マメ科作物(212億1,900万ユーロ)、コーヒー・紅茶・カカオ・香辛料(205億2,800万ユーロ)で全体の約4割を占めた。
ウクライナ産農産物の支援巡り、加盟国間で不協和音
2023年のウクライナ産品の輸入額は前年比10%減の約118億ユーロだったが、ロシアによる侵攻前の2021年と比較すると、71%増だった。EUはウクライナ支援の一環として、2022年6月4日から同国産農産物への関税賦課を停止し、一部の品目では輸入が増加傾向にある。2023年は穀物、トウモロコシ、砂糖、鶏肉などの輸入量が前年比増、特に小麦と砂糖の輸入量はそれぞれ前年の約2~3倍になった。
EU産品と比較して安価なウクライナ産品の輸入増加は、生産者の懸念やEU加盟国の足並みの乱れを生んでいる。EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は3月20日、輸入関税の一時停止措置を1年間延長する規則案について暫定合意した(2024年3月28日記事参照)。しかし、現地報道によると、合意後もポーランドやフランスなどがEUの生産者が影響を受けやすい7品目のセーフガード措置の発動閾値の参照期間について反発。両機関は4月8日、参照期間を「2022~2023年」から「2021年下半期~2023年」に修正する案で再び暫定合意に達した(プレスリリース)。同規則案は今後、両機関の正式採択を経て施行される見込みだ。
(滝澤祥子)
(EU、ウクライナ)
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