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米財務省、制裁対象者データベース更新、データのカスタマイズ出力が可能に(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月8日 14時0分

米国財務省外国資産管理局(OFAC)は56日、特別指定国民(SDN)など金融制裁対象者が掲載されるデータベース「制裁リストサービス(SLS、注1)」の更新版を公開した。

更新版SLSでは、企業や個人の名称、所在国、制裁根拠法令・プログラムなどごとに検索するインデックス機能が、旧来の操作画面(注2)と視覚的なデザインがほぼ変わらない状態で使用可能だ。また、制裁対象者リストのデータを利用者の情報ニーズに合わせて絞り込んでXML形式で出力するカスタマイズデータセット機能を新たに追加した。データセットは、(1SDNリストなどの制裁対象者リスト、(2)制裁根拠法令・プログラム、(3)リストや法令・プログラムの公表日(注3)の3段階でフィルタリングしてカスタマイズすることが可能だ。

画像 カスタマイズデータセット機能の操作画面。ここではフィルタリングの1段階目で、出力したい制裁対象者リストを1つ以上選択する(ジェトロ撮影)

カスタマイズデータセット機能の操作画面。ここではフィルタリングの1段階目で、出力したい制裁対象者リストを1つ以上選択する(ジェトロ撮影)

SDNに指定された事業体・個人には、在米資産の凍結や、米国人との資金・物品・サービスの取引禁止が科される。ここで言う「米国人」には、米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、または米国内に存在するあらゆる個人が広く含まれる。このため、米国外でビジネスを行う企業にも場合によっては制裁の影響が及ぶことがあり、日本企業にとっても留意が必要だ。

米国が科す制裁対象者のリストには、OFACが管理するリストのほかにも、商務省産業安全保障局(BIS)が輸出管理規則(EAR)に基づいて管理するエンティティー・リスト(EL)などもある。ELには、米国の安全保障または外交政策上の利益に反する行為に携わっている企業などが掲載され、EL掲載企業へ米国製品(物品、ソフトウエア、技術)を輸出などする際は、事前に許可を得る必要がある(ただし、多くの場合、原則不許可の審査方針、注4)。商務省国際貿易局(ITA)は、SDNやELなど13の制裁対象者リストを管轄省庁横断的に検索可能な「統合スクリーニングリスト(CSL)」を提供しており、取引先の確認などデューディリジェンスに活用できる。ジェトロはCSLの利用ガイドを作成・公開している(2022年12月23日記事参照)。

(注1)SDNリストおよび非SDNリスト〔外国制裁回避者(FSE)リスト、コルレス口座またはペイヤブル・スルー口座制裁対象外国金融機関(CAPTA)リスト、特定セクター制裁対象者(SSI)リスト、非SDNパレスチナ立法評議会(NS-PLC)リスト、非SDNメニューベース(NS-MBS)リスト、非SDN中国軍産複合体企業(NS-CMIC)リスト〕が含まれる。

(注2)旧来の操作画面も引き続き使用可能となっている。

(注3)公表日は2022年9月22日以降で選択可能で、空欄でも出力可能。

(注4)BISは3月に、OFACが管理する14の制裁プログラムによって指定されるSDNに対して、EARに基づく最終使用者(エンドユーザー)規制を課す最終規則を発表している(2024年3月22日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国)

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