米ロサンゼルス港の1~3月貨物取扱量は新型コロナ禍時を除き過去最高、堅調な雇用と消費を反映(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月24日 1時20分
米国のロサンゼルス港は4月17日、2024年第1四半期(1~3月)の貨物取扱量を発表した。同期間の貨物取扱量は238万503TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)となり、前年同期比で約30%増加した。この取扱量は新型コロナ禍で貨物輸入量が急増した2021年および2022年を除くと、第1四半期としては過去最多になった。また、同日に発表された3月の貨物取扱量は74万3,417TEUとなり、前年同月比で19%増加した。前年同月比で伸びがプラスとなるのは8カ月連続という。
ロサンゼルス港のジーン・セロカ事務局長は、今後の貨物取扱量について「4月、第2四半期にかけても堅調な動きが続くと予測している。好調な雇用市場と旺盛な個人消費は、今後数カ月のロサンゼルスへの貨物流入を促進するだろう」と説明している。
ロサンゼルス港は全米最大の貨物取扱量を誇るが、新型コロナ禍では、米国消費者の巣ごもり需要の高まりに加え、トラック運転手や荷役労働者の人手不足などによって、同港も含め西海岸には大量のコンテナが滞留する事態となり、世界中の物流網に混乱を与えた(2022年8月4日付地域・分析レポート参照)。現在の物流量について、セロカ氏は「4月を展望すると、通常なら閑散期とされる時期に70万TEUを超える貨物量があり、また忙しい月になるはず」としつつ、「現在は輸出貨物1件に対して2.6件の輸入があるが、これは輸出1件に対して輸入が6.2件という不均衡に陥っていた2021年に比べれば驚異的な改善」と述べており、新型コロナ禍のような混乱に陥るといった懸念は示していない(「ロサンゼルス・デイリー・ニューズ」紙電子版4月17日)。
また、新型コロナ禍の混乱に加えて、米国労使交渉の停滞などによって、貨物輸送は米国西海岸から米国東海岸やメキシコ湾岸の港湾へのシフトが進んだことが指摘されていたが、元ロサンゼルス港湾局職員でジェトロ・ロサンゼルス事務所の物流アドバイザーを務める森本政司氏は「労使交渉の妥結など、東海岸へ輸送がシフトしていた要因が解消されるとともに、パナマ運河の水量問題やフーシ派の攻撃を踏まえたスエズ運河ルート回避の動きなどによって、特にアジアからの輸送が東海岸を回避する動きもみられ、海上輸送が西海岸に回帰する動きがある。西海岸の物流量が想定以上に急激に増えたことで、港湾から鉄道の接続に時間がかかり始めているが、現段階では大きな問題にはならないとみている」との見方を示している。引き続き西海岸の物流動向が注目される。
(堀永卓弘)
(米国)
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