スウェーデン鉄鋼大手、化石燃料フリーの電炉転換に向け大規模投資を決定(スウェーデン、フィンランド)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月8日 1時30分
スウェーデン鉄鋼大手SSABは4月2日、スウェーデン北東部のルーレオ製鉄所で、高炉から化石燃料を使用しないミニミル(小規模電炉)への設備転換を行う投資決定をしたことを発表した。この設備転換により、同国の二酸化炭素(CO2)排出量について、2023年に発表された南東部オクセレスンド製鉄所での設備転換による3%の削減に加えて、7%削減できるとした。
新たな生産設備は、年間250万トンの生産能力を持ち、2基の電気アーク炉(EAF)を含む設備で構成され、特殊製品や自動車産業向けの特注製品を製造する。原材料として、北部イェリバーレの実証プラントから供給される化石燃料フリーの水素還元製鉄技術「ハイブリット(HYBRIT)」で製鉄した海綿鉄とリサイクルスクラップを使用する。同社は今回の設備投資額を45億ユーロと見積もり、稼働開始を2028年末、本格稼働をその1年後としている。
SSABはルーレオの設備転換について、2023年のオクセレスンド製鉄所の設備転換に次ぎ、化石燃料フリー鋼生産の第2ステップと位置づけている。第3ステップとしてフィンランド中西部のラーへ製鉄所の設備転換を計画しているが、その時期については、同社の資金状況や実行力、ルーレオの設備転換から得られる知見を基に判断するとしている。
同社は、2016年に国営の鉄鉱石採掘企業LKABとエネルギー大手バッテンフォールと共同イニシアチブ「ハイブリット」を立ち上げた。スウェーデンエネルギー庁の支援も受け、従来のコークスに代わり、水素を還元剤として使う製鉄技術の確立と商業化を目指す。水素は再生可能エネルギーから生成される。同社は2026年までに化石燃料フリーの鉄鋼を市場に流通させる目標を掲げている。
スウェーデンは、鉄鋼業の脱炭素化で先行しており、SSABのほか、2020年創業のスタートアップH2グリーンスチールは、2030年までに年間500万トンのグリーン鉄鋼(注)の生産を目指している。同国の鉄鋼業の脱炭素化に向けては、欧州委員会が「公正な移行基金」から鉄鋼を含む金属産業のグリーンへの移行のために、1億5,570万ユーロを拠出することが発表されており、気候変動対策に適合した資源効率の高い技術の導入、電力網の強化、労働者のリスキリングや研究開発に活用される。
(注)生産過程で二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減した鉄鋼
(奈良陽一)
(スウェーデン、フィンランド)
この記事に関連するニュース
-
あのシーバス社も始めた「脱炭素」計画の凄い中身 「500年の歴史誇る」スコッチ業界の新たな挑戦
東洋経済オンライン / 2024年4月27日 14時30分
-
広島市の金本商会が地域最大級の新工場を竣工予定
PR TIMES / 2024年4月16日 15時15分
-
グリーンイノベーション基金事業「製鉄プロセスにおける水素活用」で新たなテーマに着手
PR TIMES / 2024年4月15日 12時15分
-
革新技術で挑む鉄鋼業のグリーン化...H2GSが目指すCO2削減95%の挑戦
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月15日 11時40分
-
日本製鉄新社長・今井正が背負う課題、USスチール買収で労組・米社会をどう説得するか?
財界オンライン / 2024年4月12日 20時0分
ランキング
-
1ロンドン市長選の投票実施 開票は4日、3選目指すカーン氏に「排ガス規制」のアキレス腱
産経ニュース / 2024年5月2日 16時28分
-
2トルコ政府、イスラエルとの輸出入を“全て停止”と発表 「パレスチナにおける人道的な状況がさらに悪化」のため
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月3日 9時53分
-
3韓国慰安婦訴訟で追加提訴 日本政府に損害賠償請求
共同通信 / 2024年5月3日 17時6分
-
4「米大学は憎しみと反ユダヤ主義で汚染」 イスラエル大統領
AFPBB News / 2024年5月3日 14時42分
-
5世界初 「月の裏側のサンプル採取」に挑戦 中国の無人月面探査機発射成功
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月3日 20時44分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください